24年から始まった3歳ダートクラシック路線。14日に大井で雲取賞が番付に大きく変動があった。第3回もメンバーは変わらず、南関競馬の本紙を担当する渡辺嘉朗と牛山基康、中央記者の舟元祐二の3人が話し合った。
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舟元 中央馬にもダートクラシック1冠目の羽田盃への優先出走権がある雲取賞が終わって、本格的にダートクラシックを占う馬たちがそろいつつあります。
牛山 ここらで、おさらいも兼ねて、出走馬の確認がしたいね。
渡辺 あと番付も現実路線を重視しよう。
舟元 異議なし。実際にダートクラシックに参戦する馬でやらないと、意味がありませんね。前回までの横綱だったフォーエバーヤングは海外巡業(遠征)しているため、羽田盃はまず出走しません。東京ダービーはどうかわかりませんが、今回では一時外す方向でやってみましょう。
牛山 となれば、トライアルの雲取賞を勝ったブルーサンが横綱になる。
渡辺 この逃げ切りは強かった。元々この馬が惑星だと思って見ていたけど、楽に前に行けていた。行き脚がすぐにつくのが武器なんだね。
舟元 中央馬で強力な逃げ馬というのは、地方勢からしたらかなり嫌な相手になりますね。前に行ったらそのままゴールしちゃいますから。地方勢も追いかけなくちゃいけないし。
牛山 まだ大井で1戦しか見られていないけど、逃げればギアがある馬。今回の走りだけ見るとかなり手ごわいね。
渡辺 大関となったのがアマンテビアンコ。よく内から伸びてきたね。
舟元 発馬の時は冷や汗をかきましたよ。
牛山 つまずくアクシデントがありながらよく立て直した。
渡辺 ルメール騎手もレース後に言っていたけど、「3角で流れに乗っていけなかった」って。それで直線だけで差してくるんだからすごいよね。
舟元 サントノーレは地方馬最先着の3着。こちらも頑張りました。
牛山 勝ち馬に離されはしたけど、全日本2歳優駿3着以来の競馬で、大井に転入した初戦。1800メートルも初めてだったし、収穫のあるレース。
渡辺 そうだね。先行してよく粘っていたし、騎乗した服部茂騎手の表情も明るかった。何より前走で先着を許したイーグルノワールに勝ったことが大きい。
舟元 イーグルノワールは1400、1600メートルでは好走を続けていて、前回番付でも大関でした。一応小倉1700メートルで勝ち鞍もありますが、小倉は小回りですし…。今回の1800メートルでの4着はちょっと不満が残りますね。距離適性の差でしょうか。
牛山 よく分かんない負け方。大井が合わなかったのかもね。
渡辺 松山騎手も「道中スムーズだった。早い段階で手応えがなくなった」と言っていた。
舟元 クラシックは全て大井ですし、2冠目東京ダービー、3冠目ジャパンダートクラシックはさらに1ハロン延びて2000メートル。適性がどうかですが、頑張ってほしいですね。
牛山 これで羽田盃の優先出走権を得たのが中央馬はブルーサン、アマンテビアンコの2頭。
渡辺 地方馬はサントノーレと5着に入ったフロインフォッサル。フロインフォッサルは優先出走権を獲得したけど、さすがに上位馬とは力の差がありそう。番付には反映できず。
舟元 ここにもうひとつのトライアルの京浜盃で好走した馬が来るわけですね。京浜盃の中央馬出走要件を改めて確認させてください。
牛山 出走可能頭数は3頭。まずは雲取賞に出走していない馬で500万円超の馬で収得賞金順(以下同じ)。これが最優先。この馬がいなければ、雲取賞に出走した馬で同様に500万円超から賞金順。
渡辺 その次に、雲取賞に出走していない500万円以下の馬で賞金順。最後に雲取賞に出走した500万円以下の馬で賞金順。
舟元 一応、雲取賞に出走できなかった馬にチャンスがあるという認識でいいですか。
牛山 そうね。1冠目の羽田盃は中央馬は4頭。つまり、雲取賞と京浜盃の優先出走権で全て中央馬の枠が埋まるということになるね。
渡辺 京浜盃は雲取賞と同様、中央馬には5着以内の上位2頭に羽田盃の優先出走権が与えられる。
舟元 可能性の話ですけど、中央馬が掲示板に1頭しか入らなかったりして、枠が空いた場合はいかがでしょうか。
牛山 優先出走権の次は、雲取賞、京浜盃5着以内で優先出走権を取れなかった馬。雲取賞を例に取ると4着イーグルノワールになるね。
渡辺 その次は収得賞金順となる。
舟元 ダートクラシックの1冠目から出るためには、雲取賞、京浜盃といったトライアルを使わないと、めちゃめちゃ不利ですね。
牛山 現状はそういうことになる。
渡辺 東京ダービーの要件も聞きたい?
舟元 いや、今はおなかいっぱいです。羽田盃が終わってから改めて聞きます。東京ダービートライアルのユニコーンS(G3、ダート1900メートル、4月27日=京都)も行われますし。
牛山 初年度だから探り探りやっていくしかないね。今後変わる可能性もあるけどね。
渡辺 ヒヤシンスS組はどうよ。
舟元 3馬身差で勝ったラムジェットでかなり期待が持てるのですが、UAEダービーへの参戦。そして結果次第でケンタッキーダービーというプランがあるため、今回はステイの方がいいかと。実力は申し分ないのですが…。2着アンクエンチャブルは連対を考慮して前頭6枚目へ。
牛山 なるほど。中央馬では年が明けてから1勝クラスを勝った馬が台頭しているね。
舟元 ですね。賞金的にも、ダートクラシックを狙ってきそうなメンツなので。新馬勝ちのみのアッシュルバニパルなどはこの度除外となりました。期待していたのですが。
渡辺 もうこんな時間か。この話をしているといつも終電近いね。
舟元 始まりが遅いですからね。
牛山 今回はこんなものかな。お疲れさまでした。
渡辺、舟元 お疲れさまでした。
※更新は不定期。
◆舟元祐二(ふなもと・ゆうじ)1994年(平6)6月6日、神奈川県生まれ。兄がやっていた競馬ゲームを見て競馬に興味を持ち、実家が南関東競馬の川崎競馬場の近くにあることから、足しげく通うように。そのため競馬といえばダートが基本だと思っていた。日本酒好き。生粋の南関ファン。趣味は読書と神社めぐり。20年4月入社。21年2月から中央競馬担当。
◆渡辺嘉朗(わたなべ・よしろう)1984年(昭59)5月24日、東京都生まれ。たまたまテレビで見ていた96年春の天皇賞で、サクラローレルに心奪われ競馬好きに。20代の頃はアルバイトと競馬場を往復する日々だった。16年から南関東競馬本紙予想担当。ヒモ抜け恐怖症のため単複派。愛称ナベちゃん。
◆牛山基康(うしやま・もとやす)1972年(昭47)2月5日、東京都生まれ。92年から日刊スポーツで編集補助アルバイト。暇さえあれば中央、地方を問わず競馬場に。96年から岩手競馬の専門紙で主に編集を担当。18年から南関東4競馬の現場記者。愛称うっしー。