春のマイル王決定戦、安田記念(G1、芝1600メートル、6月2日=東京)の最終追い切りが29日、東西トレセンで行われた。出走馬の調教を深掘りする「追い切りの番人」では、大阪の明神理浩記者が、安田記念3度目の挑戦となるソウルラッシュ(牡6、池江)の「変身」に迫った。変わった要因のひとつが調教。陣営の工夫でラストのはじけ方に“すごみ”を増している。
◇ ◇ ◇
ソウルラッシュの今年初戦マイラーズCは、まさに「完勝」だった。直線の半ばで先頭に立ち、後続の追随をまったく許さなかった。2着馬に1馬身3/4差は、オープン昇級後の勝利では最大着差。それだけ最後までしっかりと伸びていたことになる。
「状態が去年より良かったから」と、池江師はコンディションの良さを挙げた。ではどういうことで状態が上がったのか? 師は複合的要素があるという。ブリンカーを外したことで抜け出してソラを使うことがなくなった。昨秋からプール調教を取り入れて肩の出が良くなり、可動域が大きくなった。そして調教のひと工夫だ。
安田記念へ向けてのこの中間、Cウッドでの追い切りはいずれもラスト1ハロンは11秒0を切っている(5月16日=10秒7、同22日=10秒9)。師に聞くと「前走前も3本(11秒を)切っていたよ」との返事。つまり、マイラーズC時も含めると、5本連続してラストはじけたことになる。
ソウルラッシュはもともと調教駆けする馬。単純にラストも動けるようになったのか? 師の答えは「6ハロンから5ハロンをゆっくりと行って、しまいはじけることを馬にすり込んでいるんです」。昨年安田記念前のCウッド追い2本の6ハロン→5ハロンは、15秒0と15秒6。対して、ラスト11秒0を切った直近5本の6ハロン→5ハロンは、15秒7から16秒6と遅めだ。
テンにゆったり入ることで生まれた「余力」をラストで爆発させる。言葉で表すほど簡単なことではないが、そういう調教を重ねてきたこともマイラーズCでのラストの踏ん張りにつながった-と、師は分析している。
この日の最終追いは、オーバーワークにならないよう坂路でサラッと(4ハロン53秒1-12秒1)。それでもラストは馬なりで楽に伸びてきた。「動きも上がりの息の入りも良かったですよ。たたき良化型で上積みはあります」。過去2年の安田記念は13、9着と、不利などもあって思うような結果を残せていないが、今年は違う。いろんなものがかみ合ってこれまでと違う気配を見せている。最後まで伸び切って悲願のG1に手が届いても何ら不思議はない。

