3歳馬シックスペンス(牡、国枝)が古馬をのみ込んだ。3月のスプリングS勝ち以来のルメール騎手とのコンビ。勝ち鞍のある1800メートルに距離を戻し、ダービー9着からの復帰戦で2つ目の重賞タイトルを手に入れた。勝ち時計は1分45秒1。東の名門国枝厩舎の3歳馬がこの秋さらに高みを見据える。ルメール騎手はこの日6勝と大爆発だった。

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徐々に。ゆっくり。そんな直線だった。シックスペンスが前を走る古馬をじわじわとのみ込んだ。逃げたホウオウビスケッツ、それを追いかけたエルトンバローズをかわし去ったところがゴール。初めて府中を走った前走のダービーは9着に敗れたが、やはり距離はこのくらいがベスト。ルメール騎手は「じわじわと伸びてくれました。すごくいいポジションを取れた。距離が短くなって、彼にとってちょうどいいペースでした」と振り返った。

心中に焦りはあった。前回コンビを組んだスプリングSは3番手から瞬時に加速し、豪快に差し切った。その時のイメージとは違った。「もうちょっと早い反応をすると思ったけど、休み明けでしたし、コンディションもトップではなかったから」。この日の毎日王冠は全馬が上がり33秒台をマークする展開。一瞬で抜き去ることは難しかった。それでも人馬は最後の最後まで伸び続けて勝利を手にした。「すごくいい馬ですからね。冷静に走ってくれた。決勝線まで頑張ってくれた。僕もよく頑張った(笑い)」と、ほっとした表情を見せた。

秋初戦で古馬を撃破。中距離で結果を残した。これが意味することは当然、秋の最高の誉れである天皇賞・秋を意識させる。国枝師は次走を明言こそしなかったが、「G1に手が届く馬なんじゃないかな」と高みを見据える。さらに「今回使ってこれから良くなってくれれば」と伸びしろも見込む。東の名門が送り出す3歳馬が、この次も古馬戦線をのみ込む。世代交代の風をにわかに感じた。【舟元祐二】

◆シックスペンス ▽父 キズナ▽母 フィンレイズラッキーチャーム(トワーリングキャンディ)▽牡3▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 国枝栄(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦4勝▽総獲得賞金 1億4086万7000円▽主な勝ち鞍 24年スプリングS(G2)▽馬名の由来 イギリス旧硬貨の名。幸運をもたらすお守り。母名より連想

◆毎日王冠の3歳馬の勝利 昨年のエルトンバローズに続く連勝で通算で15勝目。特に19年以降の6戦で5勝(19年ダノンキングリー、20年サリオス、21年シュネルマイスター)と近年の活躍が目立つ。