「このセレモニーだけで、お客さんが呼べるのでは?」
そう思えるほどの大盛況だった。レジェンド武豊騎手(56)が9日の札幌8Rで前人未到のJRA通算4600勝を達成。ゴールの瞬間には場内から大きな拍手が沸き起こった。おそらく馬券が外れた人も喝采を送っていた(と思う)。
表彰式を盛り上げたのが、プレゼンターを務めた1期上の横山典騎手だ。記念品のターフィーのぬいぐるみを高々と掲げ、コミカルに渡すパフォーマンスで観客を喜ばせた…が、これがなんと“フライング”。実はまだセレモニーが始まっていなかった。
仕切り直して“カンパイ”となったが、再び笑顔で同じ動きをリピートすると、2人で肩を組んで写真撮影に応えた。すばらしいサービス精神。両雄の良い関係性の表れともいえる。
もちろん、主役の武豊騎手も冗舌で盛り上げた。
「今日絶対しなきゃと思っていて(武豊ファンを公言する)池添君からプレッシャーをかけられていましたから、ホッとしました。ルメールさんが来ていて、なかなか勝てなかったですけど(勝った8Rに)乗ってなくてよかったです(笑い)」
翌10日には中京で騎乗するので、札幌にいるファン(とホースマン)にとってはやはり、この日に達成してほしかったに違いない。中京へ来場予定だった人も見たかっただろうが…。
56歳の今なおモチベーションが切れることはないという。「次の目標は?」。よく聞かれる質問の答えは、いつも同じだ。
「次のレースを勝ちたい」
もはや、JRA通算5000勝すら夢ではないように思える。近年は年間80勝前後。このペースなら5年後の2030年夏に夢の大台へ到達する。武豊騎手は61歳だ。「60歳現役」の目標を公言するレジェンドなら、不可能ではないと思わせる。
いや、もしかしたらペースアップしてもっと早く達成するかもしれない。その盛大なセレモニーを取材できる日が来ると信じている。【太田尚樹】

