大人になった令和版“流星の貴公子”が、秋の盾をつかみ取った!

マスカレードボール(牡3、手塚久)が直線で抜け出し、史上6頭目となる3歳馬での天皇賞制覇を達成した。勝ち時計1分58秒6。ルメール騎手は秋華賞と菊花賞に続いて3週連続のG1制覇となった。2着は皐月賞馬ミュージアムマイル(牡3、高柳大)が入り3歳馬ワンツー。武豊騎手騎乗のメイショウタバル(牡4、石橋)は6着に終わった。

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額の大きな流星をはずませて、マスカレードボールが華麗に舞った。絶好調男・ルメール騎手に導かれ五分の発馬を決めると、道中は中団を追走。逃げるメイショウタバルが作り出した前半1000メートル62秒0という超スローペースでも、得意舞台の府中なら動じることはなかった。レース全体の上がり3ハロン32秒9という究極の末脚比べの中、自身は32秒3を使って古馬をねじ伏せた。

3歳馬で古馬相手に秋の盾を制する偉業は、後に“世界一”の座へ輝いた22年イクイノックス以来の快挙。ルメール騎手はそのNo.1ホースを思わず引き合いに出し「当時のイクイノックスみたいにジワジワ加速するタイプ。その時と同じフィーリングで、すごいパワーを感じました」と名手に今後を予感させる強さだった。

普段はやんちゃな“仮面”を被るが、レースになれば話は別だ。手塚久師が「少年から青年くらいにはなったかな。まだ成人にはなってない感じ」とメンタル面を評価。レース直前のゲート入りをごねるしぐさや、レース後の口取りでも落ち着かない様子は、周囲の人間を少しハラハラさせる。ただ本番になれば一変、その“仮面”を脱ぎ捨てて、力強く駆け抜けた。「レース後の息づかいを見ると、こちらが想像できないところまでいってしまう可能性を秘めているのかな。ホッとしたのと同時に、さらに上を目指さないといけないかなと」とG1・10勝目となった名伯楽に、かぶとの緒を締めさせる逸材だ。

完成形の強さは一体どれほどなのか。ルメール騎手が「まだまだ伸びしろがある。来年もトップレベルで活躍できるね」と将来を確約。今後は未定だが、手塚久師は「世界に名を認知させて、JRAを代表する馬になってほしい」と国外も見据えた期待を寄せる。チャームポイントの大きな流星は、美浦トレセンでひときわ目立つ存在だ。新たな“流星の貴公子”は父ドゥラメンテが残したラストクロップ。父が成し得なかった世界を相手に、今日より完璧な舞いで「これほどまでに強いのか-」と思わせる日が来ることを待つ。【深田雄智】

◆マスカレードボール ▽父 ドゥラメンテ▽母 マスクオフ(ディープインパクト)▽牡3▽馬主 (有)社台レースホース▽調教師 手塚貴久(美浦)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 7戦4勝▽総獲得賞金 5億5061万円▽主な勝ち鞍 25年共同通信杯(G3)▽馬名の由来 仮面舞踏会