今代司酒造/新潟市
営業兼広報マネージャーのジェロム・リードさん

 新潟駅から徒歩圏内、江戸時代に北前船がもたらした湊町文化が今なお残る沼垂地域。ここに今代司酒造はある。ニューヨーク出身の営業兼広報マネジャーのジェロム・リードさんが選んだ蔵の1本は「天然水仕込み純米酒 今代司」。理由は、ふだん家で楽しめる酒であり、彼がこの蔵で働く決断を後押しした酒でもあるから。

 2005年(平17)に初来日。群馬県で2年暮らし、その後ハワイの大学で国際コミュニケーションを学び、卒業後航空会社に勤務。成田とニューヨークを行き来していたころ、会社が出展したイベントに八海山も出展。これが新潟の日本酒との出会いだった。

 「ニューヨークではすし屋で熱かんを飲んだことはありましたが、温度帯や合う料理など、日本酒がワインに匹敵する奥深いものであると知り、この世界に入りたいと思いました」

 昨年末、蔵元の系列会社を経営する知人から今代司酒造を紹介された。まずは蔵の酒を味わってみようと知人が取り寄せた5種類の利き酒セットの中に「天然水仕込み純米酒」があった。外国人が好むうまみと酸味を持ちつつ、スムーズにのどを通る酒だったという。合う料理の話題になると「日本酒にはトマトとチーズが合います!」と断言。「だからピザはぴったり。イタリアやフランス料理、ピザ専門店でもぜひ日本酒を扱ってほしいですね」。

 昨季は酒造りも経験。海外営業をはじめ、英語版パンフレットの制作や居酒屋への営業など精力的に動いている。「新潟は東京と違い、それぞれの人のストーリーにお互いが興味をもち、コミュニケーションを図れる。素晴らしい町です」。発酵の町、沼垂から世界へ。「大好きな新潟」を日本酒で伝えることが彼の夢だ。【高橋真理子】

[2016年8月6日付 日刊スポーツ新潟版掲載]