笹祝酒造/新潟市
地元出身の畠山洋一杜氏(左)と6代目に向けて修業中の笹口亮介専務

 旧北国街道沿いの松野尾に、笹祝酒造は明治32年に創業した。初代蔵元笹口岱作の妻マカが営んでいた「おマカ茶屋」で酒が飛ぶように売れたことから、宮大工だった岱作が酒造技術を取得し笹口醸造場として創業。5代目の笹口孝明社長は就任前に旧巻町長を務め、巻原発白紙撤回に尽力した。

 6代目を継ぐ気はなかったという笹口亮介専務は、酒造とは関係のない企業に内定したあと、就職前に実家の酒を扱う立ち飲み店でアルバイトしたことがきっかけで、蔵を継ぐことを決めた。その後、横浜の酒販店で飲食店向けの営業をする中で、繁盛店ほど旬の食材に合わせてメニューを変え、その料理に合う酒にこだわっていることを実感したという。

 昨年4月に実家に戻り、昨季から造りにも参加している。さらに昨年6月に新潟清酒学校32期生となり、県内の同業者とともに学んでいる。

 「笹祝酒造」には代表銘柄の笹祝のほか、地元産の酒米「亀の尾」を使った「竹林爽風」、純米・純米吟醸、無ろ過・無ろ過生原酒の「笹印」などがあるが、今回の一本として笹口専務が選んだのは「笹祝 新潟印」。地元で愛飲されている定番酒で、畠山洋一杜氏(とうじ)の晩酌酒でもあるからだ。

 畠山杜氏は清酒学校4期生で杜氏8年目。新潟印は「うまみがあり、後味はすっきりとした、先代から受け継ぐ変わらぬ味わいです」と話す杜氏自身は、夏でも鉄瓶でかんして飲む。「体温より少し高めだとうまみが増し、体にも一番いい」。

 9割近くが県内で消費される地酒の中の地酒、笹祝。次代を担う笹口専務は「昔ながらの、地元の季節ごとの料理とおいしさを高め合う味わいを守りつつ、新しいことにも挑戦していきたいですね」と意気込む。【高橋真理子】

[2016年7月16日付 日刊スポーツ新潟版掲載]