阪神のドラフト1位、佐藤輝明内野手(21=近大)が本拠地初アーチとなるオープン戦2号を放った。

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オープン戦で佐藤輝を論じるのは初めてだが、これはもう“本物”というしかない。わたしなりに阪神の歴代ルーキーをたどっても、甲子園で逆方向の左中間スタンドに打ち込む新人は記憶にない。

ホームランは2球目だったが、初球のボールの見逃し方が実に良かった。しっかり呼び込んで、打てるバッターの雰囲気がプンプンと出ていた。その直後の1発だから「やっぱり」と思った次第だ。

この1戦で大山を「DH」、佐藤輝を「三塁」、さらに一塁マルテ、右翼サンズと2人の外国人を起用した。佐藤輝を開幕から使うことを前提に考えた際に浮上するのは外国人の活用法になってくる。

外国人枠は昨季に続いて“コロナ特例”で出場登録の5人制(ベンチ入り4人)が採用される。佐藤輝を生かすには、マルテ、サンズ両外国人をベンチ入りさせるのはポジショニングが複雑になって現実的でない。

開幕の起用に関しては「投手3、野手1」でスタートすべきだ。その場合、投手枠は先発チェン、セットアッパーのエドワーズ、守護神スアレスの3人、野手枠はサンズ1人がベストだとみている。

おそらく首脳陣はまだ大山を三塁に固定するか否かを思案しているのではないだろうか。この外国人枠でいけば、大山が一塁に入って、佐藤輝が三塁、サンズがレフトかライトを守る布陣が組める。

つまり佐藤輝のホームランは助っ人も押しのけた一撃だったといえる。あえて言うと、ソフトバンク戦で左の和田が組み立ててきたような投球にいかに対処するかだろう。

ただセ・リーグに和田ほどの投球術のあるサウスポーが見当たらない。これもまた佐藤輝が力を発揮しやすい状況にあるということだ。

(日刊スポーツ評論家)