今シーズン10試合目の初勝利は、先発の西勇が1、2回でもらった4点の援護を守り切ったものだった。

山田 ソロリ、ソロリといった立ち上がりだったけど、その後はピンチらしいピンチもなく、危なげなかった。初回から味方に先制点を取ってもらい、佐藤輝の2ランで突き放したことで、ペースをつかんだ。その点「4番」の一発は効果的だったといえるだろう。

DeNAの序盤は1回と3回に4番牧の前に走者を出したが、遊ゴロ、二ゴロで断ち切った。得点圏に走者を背負ったのは9イニングのうち2回だけで、反撃を許さなかった。

山田 坂本とのバッテリーは、相手打者の狙いが見えていた。まったく的を絞らせなかったのは素晴らしかったし、いわゆる翻弄(ほんろう)した。でも、その後の打線は物足りない。どういう形であれ、追加点を取って引き離さなければいけない。西勇は118球を投げ切ったが、時期的にも完投させる必要がないから、疲労度を最小限にとどめて、8、9回はリリーフに任せることを考えてもよかった。終盤リリーフを送り込めないところに、ベンチがまだ“抑え”に自信がないことが表れた。

新外国人守護神のケラーが開幕から失敗続きですぐ2軍に降格。「勝ちパターン」が定まらないまま負け続けた。今後はどうする?

山田 開幕から阪神ベンチには継投の「人選」「タイミング」に迷いが見えた。ケラーの2軍調整を見ながら、もう1度上げて中継ぎ起用し、そこで抑えとしてどうかという再点検をするのも手だ。1つ勝ったことでチームにのしかかっていた重みも取れる。このDeNA、広島6連戦で逃げ切る形を固めることができるかどうかに、阪神が巻き返すのか、それとも沈んだままなのかが分かるはずだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】