青柳に尽きますね。味方が何回も併殺を取れなかったり、たくさんミスが出てピンチが広がったけど、我慢強く踏ん張った。そこから崩れて逆転されてもおかしくない展開でしたが、ミスをした選手に声をかけたり、その後も表情を変えずに淡々と投げて、精神的にも強くなった“粘り”を感じました。試合中のベンチにも青柳が先発すれば勝つムードが出ていたし、何事にも動じずに粘って抑えるので、ますます信頼感を高めたと感じる内容でした。

巨人も坂本を外したり、変速右腕の青柳対策で野手8人中、7人の左を並べてきました。でも青柳もクイックで投げたり、ボールを長く持ったり、1球1球の“間”を変えて、タイミングを外す工夫が抜群でした。開幕投手に決まっていながらコロナ感染で出遅れ、取り返してやるという思いも強いと思います。打席でも0-0で進んだ3回に菅野から左前安打を放って佐藤輝の先制2ランにつなげるわけですが、何としてもこの試合に勝つんだという気迫を投打で感じました。

菅野が本調子ではかったとはいえ、佐藤輝も苦手だった内角高めを本塁打したり、故障明けの大山にも1発が出たりと、良い形で4連勝できました。でもここから上位浮上を目指すためには、この日出たミスに目をつぶってはいけません。

顕著だったのは1点を失った5回でしょう。無死一塁。松原のゴロで併殺を狙って二塁送球を少し横にそらした小幡と、少しのズレで捕れなかった遊撃の中野は、ともに球際の“粘り”がほしい。青柳のような粘りがあれば、少なくとも1死は取れたはずです。直後の無死一、三塁。若林の一ゴロをつかんだ大山は、本塁送球か迷った分、併殺崩れにしてしまいました。青柳が後続を断ったとはいえ、迷わず二塁送球して併殺を取りにいき、三塁走者の生還は認める場面です。大事なのは状況判断です。

ゴロを打たせて取る投手が注文通りに何度もゴロを打たせているのです。野手はその投球にしっかり応えないと。勝ってしっかり反省してほしいゲームです。(日刊スポーツ評論家)

巨人対阪神 阪神の先発青柳(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 阪神の先発青柳(撮影・たえ見朱実)