阪神が投打の今季2度目の4連勝を飾った。青柳晃洋投手(28)は8回4安打無失点でリーグトップの6勝目。打線は大山悠輔内野手(27)が4回に先制打を放ち、5回にも2点を加えた。借金を9まで減らした。リーグ戦は最下位のままだが、交流戦は7勝4敗となり、初優勝も射程圏内に入っている。

日刊スポーツ評論家の山田久志氏(73)がエース青柳に成長の跡を感じ取った。

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阪神は俗にいう投打がかみ合ってきたという戦いで、今シーズン最もいい流れがきている。前日3日の日本ハム戦で6点差をひっくり返したことが、この一戦につながったといえる。これが逆の結果に出ていたら、このように楽には戦えなかったはずだ。

青柳は“ディス・イズ・ピッチング”という内容をキープしている。ゴロを打たせている、かわしているとかいった見方が多い。しかし青柳の投球は攻めているからこそ内野ゴロになっているわけで、かわしにかかっていたらこのような結果にはなっていない。

本来、変則投手の球種は「直球」「カーブ」「シンカー」の3種類ぐらいに限られるものだ。青柳の場合は、そこにこの日は少なかったチェンジアップ系、それに落ちる球も2種類ほどの球をちりばめる。以前から指摘していた高低も使えるようになった。投球に意図が感じられるようになったのは成長した証しだ。

また青柳の攻めの投球は、前日先発した日本ハム上沢との差を感じた。どちらもエースといわれる投手だが、上沢にはかわしにかかる甘さがあった。ベンチも5回でスパッと交代する厳しさをみせれば、また違った試合展開になっていたかもしれない。

セ・リーグのどのチームも青柳を打ちあぐねているから、対戦の少ないパ・リーグはより絞りにくかっただろう。わたしの経験でいうと、変則といわれるタイプの投手は「球種」を狙うより「打球方向」を定められると苦しくなるものだが、現状で安定感抜群であることに変わりはない。

最下位に沈む阪神にとって、この連勝は大きい。まだ一線級のピッチャーにかかると厳しいが、チームはこの4連勝で、前へ、前へと気持ちが向くし、ひょっとしてという心理も働く。このいい流れを手放さずに戦いたい。(日刊スポーツ評論家)

阪神対日本ハム ファンの歓声に手を振って応える阪神青柳(撮影・上山淳一)
阪神対日本ハム ファンの歓声に手を振って応える阪神青柳(撮影・上山淳一)