勝負の分岐点は、0-0のまま迎えた「7回の攻防」にあった。広島はこの回先頭の4番坂倉が左越え二塁打で出塁。続くモンテロに思い切って代打矢野を送ったが、この勝負手が見事にはまった。
新井監督は、1点を取って逃げ切るぐらいの腹づもりだったはずだ。矢野の投前犠打で1死三塁。さらに、三塁走者・坂倉に代走辰見を起用したのは、ちょっとでもスキがあればホームを突かせる意図だったのだろう。
一方、阪神も内野陣が前進守備を敷いて1点を防ぎに出た。だが6番野間のフラリと上がった当たりがショート後方に落ちる。この場面、内野手出身のわたしだったら、前身守備からさらに50センチほど前を守っていただろう。
阪神内野陣にもそういう気持ちが働いていてもおかしくはなかった。不運にも野間の打球は、レフトとショートの間に落下する適時打となった。広島が「代打」「代走」でプレッシャーをかけた結果が、まんまと1点につながったと言えるだろう。
一方、1点を追う阪神はその裏、7番梅野が遊安で出塁した際に代走を送るべきだった。福島の犠打で1死二塁。9番才木の代打で嶋村が出ると、広島は岡本からサウスポー高にスイッチした。このチャンスも阪神は二塁走者に代走を送ることが考えられたはずだ。
7回1死二塁。足の速い走者が出ていれば、三盗を繰り出す可能性も考えられるので、警戒する広島バッテリーの心理状態も変わっていたかもしれない。そして8回無死一塁の場面。左腕ハーンのモーションが大きいだけに、一塁走者・中野で二盗の仕掛けができなかったことももったいなかった。(日刊スポーツ評論家)




