27日にプロ初勝利を挙げた阪神才木だが、何げない一言に愛想のいい人柄がにじみ出る。

 才木が、どんなときも口にする「ありがとう」という言葉。須磨翔風高校時代の同い年で、野球部マネジャーだった余嶋桃香さん(19)が、高校時代を思い返した。

 投球後のアイシングを用意するのがマネジャーの仕事の1つだった。右肩に氷を添えた際に「ヒロトくんは、いつも『ありがとう』を言ってくれました」。マウンドでの勝ち気な表情を緩ませ、お礼の言葉を欠かさなかったという。

 16年7月、才木が高校最後の夏を目前にマネジャーに手渡したものがある。学年全員の選手名が記されたユニホームだ。同学年では1人だけのマネジャーの名前も刻まれていた。「うれしい気持ちでいっぱい。サポートをさらに頑張ろうと思いました」と余嶋さんは振り返った。

 この日、兵庫出身の才木は、あこがれの甲子園の舞台で輝いた。それは周囲へのサポートに感謝の念を忘れなかったことへの野球の神様のプレゼントだったかもしれない。【阪神担当 真柴健】