パ・リーグは日本ハムがソフトバンクを下し日本シリーズ進出を決めた。野球評論家の西本聖氏に第5戦の感想を聞いた。

 -最後は大谷を投入して日本ハムが逃げ切った

 西本氏 石橋をたたいてじゃないけど、勝負は下駄を履くまで分からないんだというその表れ。何が起こるか分からない、勝つんだ、絶対日本シリーズに行くんだという表れだったと思う。

 -第6戦までもつれると投手のやりくりが大変になる

 西本氏 「今日、勝って日本シリーズに行くんだ」というベンチの考えでしょう。日本シリーズ初戦は22日。中5日空ければ大谷は十分初戦に先発できる。大谷を投げさせないで他の投手で行って打たれたら明日(17日)第6戦がある。勝つためには大谷をどこかで投げさせるだろうから、そうなると中4日になってしまう。シリーズ第1戦は登板させられないかもしれない。そういう意味でもこの日で決められたのは大きかったと思う。

 -ソフトバンクは1回に4点を先制しながら逆転負け

 西本氏 4回から登板した東浜が疲れもあって良くなかったが、流れを止めるチャンスはあった。工藤監督は投手出身。選手を信じることも大事だけど負けたら終わりの戦い。リードして主導権も握っていたわけで、結果論になるかもしれないが、早め早めに手を打つこともできたのかなと思う。

 -ソフトバンクは断トツの優勝候補だった。今季も快調なスタートを切ったが最大11・5ゲーム差を日本ハムにひっくり返された。その原因は?

 西本氏 チームが一つになれなかったのかな。一番不思議だったのがバンデンハークの長期リタイア。5月までに6勝を挙げていたのが、突然いなくなった。報道によれば蓄積疲労と首痛などが原因のようだが、肩や肘を故障したわけではない。勝てる投手がいなくなってしまったのは痛かった。シーズン終盤の和田(左肘違和感)の離脱も大きかった。チーム全体で見るとおごりとまでは言わないが、らしくないミスが出たり、「あれっ?」というようなプレーも出始めた。選手の表情もどこか冷めているようにも見えた。序盤リードしながら逆転負けしたこの日の試合が、何か今年1年を象徴しているような感じがした。