併殺に仕留める二塁手宇佐美(2018年11月9日撮影)
併殺に仕留める二塁手宇佐美(2018年11月9日撮影)

「PL魂」は、たしかに根付いていた。

立正大の2度目の優勝で閉幕した明治神宮野球大会大学の部。関西5連盟第2代表で出場した関西国際大は、同校初の4強に輝いた。準決勝敗退となったが、主将の宇佐美秀真内野手(4年=PL学園)は「ベスト4は自信になる。よくここまでやってきたと自信につながると思います」と振り返った。

宇佐美はPL学園時代、「逆境」を乗り越えた。高校2年生の時、部内不祥事により対外試合禁止処分となり、夏の大阪大会に出場することが出来なかった。当時の監督も退任。その後も監督は決まらず、結果的に野球経験のない校長が監督を務めることになった。宇佐美ら選手たちは継投のタイミングなど戦術を考えたり、サインを出すことでサポートしていた。

ナインは校長監督とともに戦い、決勝で大阪桐蔭に敗れたものの、準優勝までたどり着いた。

宇佐美は「ベンチの中で、大人の野球を知っている方がおられなかった。自分たちで考えて野球をやるという逆境に立たされた場面で、真っ向から向かっていく姿勢が大事だと思いました。その経験が生きているなとつくづく思います」と振り返る。

当時主将を務めていた中川圭太内野手は東洋大に進み、今年のドラフトでオリックス7位で指名された。宇佐美や中川ら当時の3年生は、毎年12月に同窓会を開いている。宇佐美は「中川はPLの時からずばぬけていた。これから中川のことを応援したい」と自分のことのように喜び、中川は今大会、関西国際大の初戦に応援に駆けつけた。絆は強く結ばれている。

「野球は団体スポーツ。人の気持ちを考えて、常に目配り気配りしないと成り立っていかない。周りを見ることが大事。そこは社会に出ても生きると思います」。宇佐美は大学で野球を終え一般就職する。いずれは指導者として野球に携わることが目標だ。宇佐美が野球で学んだ多くの財産が、教え子たちに受け継がれる日を楽しみに待ちたい。

【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

立正大にコールドで敗れ肩を落とす関西国際大ナイン(2018年11月13日撮影)
立正大にコールドで敗れ肩を落とす関西国際大ナイン(2018年11月13日撮影)