「50の手習い」だ。昨夏甲子園8強に進出した浦和学院の森士(おさむ)監督(54)は16年度、早大大学院でスポーツマネジメントを学んだ。

修士論文のタイトルは「高校球児における全国制覇を目指した生活とその後のライフスキルとの関係~甲子園出場経験、メンバー・メンバー外に着目して~」。これまで積んできたキャリアを確認し、さらなる説得力を持たせるためにはどうしたらいいか。1年間、突き詰めて考えた。

1番の収穫は俯瞰(ふかん)の視点をもてたこと。「異業種、違うスポーツとの交流。野球界、高校野球を客観視できた」という。生徒たちは野球だけで生きていくわけではない。「『社会性とは何か』を生徒に示すために、指導者は勉強していかなくては」。もともと抱いていた根っこを強く確認できた。

具体的に3つのテーマを掲げ、理念をチームに落とし込むことにした。

<1>リーダーシップ 甲子園を経験した中前祐也内野手、後藤陸人内野手、畑敦巳捕手(いずれも3年)のセンターライン3人がどれだけ周りを引っ張り上げ、周りを巻き込めるか

<2>リーダー性 リーダー以外の選手にリーダー意識を保持してもらう。全員の責任意識の向上

<3>バッテリー 絶対的なエースがいない中、チーム全体で1球1球細かく分析してバッテリーを作っていく作業

3本の柱がリンクすれば、浦学で白球を追いかける間に自然と社会性が身につくはず-。全国制覇はもちろん、選手1人1人に待っているその先の大きな舞台まで見据えてフレームを組み、令和最初の夏に挑む。