22日の中日戦(北谷)を皮切りに、阪神のオープン戦が始まる。例年ならまだ練習試合の場合が多いが、なにしろ今季は東京五輪の影響で開幕が早い。勝敗はともかく、プレーは本気モードに入ってくる。
そんな実戦でどこに注目するのか。投打の新外国人選手か。藤浪晋太郎ら期待の投手陣か。それも当然だが同時に目を離せないところ。それが守備力だろう。
昨季、阪神は12球団ワーストの102失策を記録した。101失策を記録した00年以来、19年ぶりに不名誉な大台突破だった。最少45失策の中日と比べるとその多さが分かる。
勝敗はもちろん、失策が多いと何が起こるか。以前ある球団でこんな光景を見た。先発の外国人投手が取材に応じた後、内野手がゴロをさばくジェスチャーをするのだが、必要以上にステップが多い。「ウチの内野手はこんな感じだ」と文句を言っていたのである。
新外国人投手が多い今季の阪神、失策が出ると「おや?」というムードになる可能性は否定できない。それがチーム内のよくない雰囲気につながっていくことは避けなければならない。そんなことがあってはいけないのだが助っ人にナメられないためにも守備、特に内野守備は重要なのだ。
個人的には内野のポイントは糸原健斗ではないか、と思っている。二塁のレギュラーにもっとも近い。社会人までは三塁が“本職”という感じだったようだが、三塁には大山悠輔らがいるし、やはり二塁手だ。
20失策でリーグワーストだった大山、15失策の木浪、12失策の北條らの三遊間に不安が見えた内野陣だが、二塁手がしっかりしていれば、もう少しまとまると思う。昨年彼ら3人に次ぐ7失策だった糸原の守りは、いよいよ重要だ。
「このキャンプ、糸原からさらにレベルアップしようという気持ちは伝わってきています。併殺を取る時のピボットプレーの素早さとかも意識していると思う。それはハッキリと見えます。あとはそれが実戦でできるか、ですね」
名遊撃手だった内野守備走塁コーチの久慈照嘉はそんな話をした。糸原だけでなく、このキャンプは久慈を中心に「早出特守」の特守練習もしっかり行っている。外国人のマルテも参加するほどだ。
昨年は失策が多かったがAクラスに食い込んだ。しっかり守れば、勝利の可能性はさらに増加すると思って仕方がない。(敬称略)