全国高校野球選手権大会(6日開幕、甲子園)に出場する早実(西東京)のスーパー1年生・清宮幸太郎内野手が3日、緊張の初体験を終えた。朝7時半からは甲子園見学で念願のグラウンドに立ち、打席や一塁守備で本番をイメージ。午後4時からは組み合わせ抽選会に参加して「試合前より緊張した」と笑顔を見せた。初戦は第3日の第1試合で、今治西(愛媛)との対戦が決まった。

 清宮が、甲子園でしか味わえない雰囲気を楽しんだ。甲子園見学では初めて聖地に足を踏み入れた。「今まで経験したグラウンドの中で格別。暴れてやるぞ、という気持ちが増した」。決意を新たにした後、全49代表の選手が集まる抽選会に出席した。4番目に決まった早実の隣がしばらく埋まらず、47番目にクジを引いた今治西に決定。「まだか、まだかとドキドキして、だんだん手先が冷たくなってきていました。独特の雰囲気で、試合前より緊張した」。初体験の連続に、あどけない笑顔を見せた。

 あこがれの舞台に立っても、漂う大物感は変わらなかった。甲子園見学で一塁守備につくと、ファウルフライをフェンス際まで捕りに走る動作を4度繰り返した。周囲がゴロ捕球のイメージを高める中、いきなり“清宮ワールド”全開。「よく(カメラマンの)記者席に飛び込みながらフライを捕ってるのを見るので、距離感を確かめました。前に早実の先輩も捕って落ちたと聞いたし、守備でも気迫を見せたい」と笑った。

 打席でも最高のイメージを描いた。「スタンドが大きいぶん、(外野)フェンスとマウンドが近く感じた」という印象を抱き、投球動作をする投手に合わせて4スイング。「ライトとレフトのポール際がいびつな形をしていて、実際に見たらおもしろかった。ヒットやホームランを打つ姿はイメージできた」。バットを振り切った後の視線は、外野席に向けられていた。

 第1試合も大歓迎だ。西東京大会は6試合中5試合が午前9時または10時スタートの第1試合。甲子園の8時開始にも「(球場に)6時に入るのはとてつもなく早いのでビックリですけど、朝は強いんで大丈夫です」と胸を張った。

 対戦する今治西については「よく甲子園でも見る名前。常連校で強いと思う」と印象を語った。偶然にも“清宮アイテム”のタオルの名産地。友人からプレゼントされて愛用していた「めざせ甲子園」と刺しゅうが入った黄色いタオルは、西東京大会で卒業した。「新しく違うのをもらいました。色はお楽しみで」と笑みを浮かべた。怪物ルーキーの全国デビューまで、あと4日だ。【鹿野雄太】

 ◆甲子園の東京対愛媛 東京勢は春夏通算2勝9敗。32年夏から9連敗が続いている。今治西には4戦全敗。相性の上では、いきなり難敵との対戦となった。早実は今治西と77年夏の準々決勝で対戦し、1-11で完敗。2年生の川又米利(元中日)らを中心とする打線が、今治西のエース三谷志郎(元早大-プリンスホテル)に抑えられた。今年のセンバツでも二松学舎大付の2年生エース大江が、21世紀枠で出場した松山東から毎回の16三振を奪いながら、4-5で敗れている。

 東京勢が愛媛勢に勝てば、第1回センバツで早実が準優勝した24年の松山商戦以来、91年ぶりになる。