選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が11日、大阪市内で開かれ、初戦の相手が決まった。八戸学院光星(青森)は第2日(21日)第3試合で開星(島根)と対戦。初戦突破で勢いに乗る決意だ。

 八戸学院光星ナインは午後、大阪・豊中市内の球場で練習を行った。これが今年初のグラウンドでの練習だ。仲井宗基監督(45)が集合したナインに「相手は決まった。気持ちを引き締めて練習しよう」と声を掛けると、ナインは「ハイ!」と元気よくこたえた。

 練習前の午後2時46分、ナインが整列し、1分間の黙とうをささげた。仲井監督が「震災では東北で多くの人が亡くなった。その東北代表として甲子園に臨む。当たり前に野球ができ、生活できていることに感謝しなければいけない」とナインに訓示した。

 仲井監督が就任して初の甲子園が11年春だった。3月11日、沖縄キャンプから羽田空港へ向かう飛行機内で震災発生の報を聞いた。飛行機は羽田に着陸できず関西空港へ。そのままセンバツを迎えた。八戸も津波で大きな被害を受けた。甲子園で1勝を挙げ八戸に帰ったナインは、避難所に救援物資を届けて回った。

 以来毎年、光星ナインは3月11日午後2時46分の黙とうを欠かさない。時には大阪へ移動の車中でも行った。震災は、11年夏から3季連続準優勝など甲子園の強豪になった光星の精神的原点だ。初戦で開星と対戦のクジを引いた奥村幸太主将(3年)は「相手がどこかは関係ない。1戦1戦、全力を尽くすだけ」と落ち着いた口調で話した。

 練習は約2時間、シートノック、打撃練習などを行った。仲井監督は「相手はガンガン行くタイプ。うちと似ていると思う。まず初戦をしっかり戦いたい」と気負いはない。みちのくの強豪が静かに大会へのスタートを切った。