行くぞ、初の夏決勝! 第98回全国高校野球選手権(甲子園)で全国最多37度目出場の南北海道代表・北海は、今日20日の準決勝第2試合(午後0時半試合開始)で、今春のセンバツ4強の秀岳館(熊本)と激突する。夏は創部116年目で初、道勢では06年駒大苫小牧以来10年ぶりの決勝進出を目指す。決戦を控えた19日、エース大西健斗(3年)は大阪・豊中市内の球場でストレッチなどを行い、ノースロー調整で決戦に備えた。

 19日、最高気温38・1度を記録した大阪で、北海のエース大西は、ストレッチとランニングの軽めの調整で練習を終えた。全神経は今日20日の準決勝へ。4戦連続完投を目指す右腕は「疲れはありますけど、試合になれば自分が投げるしかない。昨日(18日の準々決勝)と変わらず気合は入っています」と気持ちを高めた。

 トレーナーに肩をもまれ、顔をしかめる場面もあったが、ここまで来れば全ての力を出し切るしかない。相手は、今春のセンバツで4強入りした秀岳館。プロ注目の九鬼隆平捕手(3年)を筆頭に1~9番まで強打者が並ぶ打線を、いかに封じるか。「1発のある打者がそろっている。9人全員警戒して投げたい」と、気の抜けない投球を覚悟している。

 初戦から3試合で投げた球数は計331球。2日連投となった準々決勝では、序盤から下半身に疲れが見えた。「今日は体全体をうまく使って筋肉をほぐしたり、有酸素運動をしたり」。初戦で受けた死球の影響で左手の握力は20キロ以上ダウンしたが、右手はチームトップの72キロ。「右手でミートするように打っていきたい」と、準決勝では打撃でも元4番の底力を発揮するつもりだ。

 春夏通じて、初めて準決勝に臨む平川敦監督(45)は「絶対的に見たら秀岳館のほうが力はある」と苦笑いも「大西の投球に尽きる」と、甲子園で覚醒したエースの踏ん張りに期待を寄せる。「甲子園で強い打者と対戦するうちに、相手のスイングを注意して見ながら投げられるようになった。うまく変化球が使えている」と、大西。88年前は京都・平安中(現龍谷大平安)の前に0-6で涙をのんだ準決勝。創部116年目で初の夏決勝進出へ、全ては背番号1の右腕に託された。【中島宙恵】