成田の猛打が止まらない。

 1-2で迎えた3回裏、無死一塁から、主砲・田宮裕涼捕手(3年)の2点本塁打で逆転すると、4回には1点を加点して4-2に。7回には、稲垣純平内野手(3年)のソロ本塁打、田中佑弥外野手(3年)の3点本塁打も飛び出し、試合を決めた。

 成田の12安打の中には、チームメートが打たせてくれた涙の本塁打があった。

 5回、成田のベンチで、泣いていた選手がいた。1番の田中佑弥外野手(3年)だった。2打席目、3打席目に凡打し思い通りのバッティングができない悔しさからだった。梁川啓介部長(43)が、「守備で活躍してるじゃないか。チームみんなで勝ってるんだから、それでいいんだよ」と声をかけると、再び涙。チームの勢いに乗れない自分のふがいなさに腹がたった。7回。「気にするな」「頑張ろう」チームメートの励ましの声に涙をぬぐい、向かった打席で3ラン! ベンチは、大喜びで田中を迎え入れた。「本当にうれしかった」と、悔し涙から一転、喜びの笑顔ではじけた。

 7回に本塁打を打った稲垣純平内野手(3年)は「今大会は、打つ球、打たない球の徹底が全員でできている」と、成田打線の好調を振り返った。

 10年以来の4強入りに、尾島治信監督(49)は「先輩たちが残したものが、彼らの中に残っていて、いい結果としてつながっている」と選手たちの成長に目を細めた。

 ノーシードから強打を武器に快進撃を続ける成田。その勢いは止まらない。