「平成最後の甲子園」となる第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日に行われ、出場32校が決定した。昨秋の関東大会でベスト4に入った山梨学院は、5年ぶり3度目の大舞台に挑む。吉田洸二監督(49)は地元山梨の甲府南シニア出身で、投手兼一塁手の主将相沢利俊投手(2年)に大きな期待を寄せた。

出場決定の報告に、グラウンドで練習中だった生徒たちが一斉にベンチ前に群がった。ソワソワするチームメートと喜びを分かち合いたい衝動を抑え、相沢主将は周囲に目を配った。「今まで自分のことはもちろん、他の選手のことを考えながらやってきました。それが大変でしたし、そこから学べるものが大きかったです」。

晴れ舞台でも、周囲への配慮を忘れない。写真撮影では投球フォームをリクエストされた。土にまみれた手のひらに目をやり「洗ってきましょうか?」。まだ練習中。普段からの気配りが、ちょっとした言動ににじみ出た。

甲府南シニアで野球に没頭していた中学3年(甲斐市玉幡中)、山梨学院の練習を見た。「チームの雰囲気に活気がありました。僕も山梨県民なんで」。関東近県だけでなく、関西、東北からも有力選手が集まる有力校に、地元の生え抜きとして挑む決意を固めた。

吉田監督は「文武両道のキャプテン相沢が先頭に立ってチームを引っ張ってきた」と評する。2年までの評定平均は4・7。練習態度と同じく、授業態度や校内での振る舞いも主将としての自覚にあふれている。チーム全体が相沢の指示に瞬時に反応し、以心伝心で動く集団に成長した。

相沢は「社会に出ても、周りの人を考えて行動できるようになれたらいいと思っています」。根っからの優等生というよりも、野球を通じ、鍛えられながらリーダーに育ってきた。そんな魅力にあふれる地元のホープが、甲子園に挑む。【井上真】