東邦(愛知)が終盤7回の集中打で粘る21世紀枠の富岡西(徳島)を退けた。投げては1失点完投、打っては2打点のエース石川昂弥投手(3年)が勝利に導いた。

石川は140キロ近い力強い直球を軸に、力投した。6回に追いつかれ、1-1とされたが、7回に打線が目覚めた。バッテリーミス(振り逃げ)を足場に1死二塁とし、「1番右翼」で先発した背番号3の松井凉太(3年)の左前打で勝ち越し。2死後、石川の中前打で2点目を入れた。決勝打の松井は「石川、石川とばかり言われて悔しかった。ナニクソという気持ちでした。東邦は平成最初に優勝をしている。弱いと言われていた僕らが優勝して、新しい歴史を作りたい」と鼻息が荒かった。

石川は9回を2失点で投げきった。7安打、11奪三振で、球数は自己最多という163球。打っては3回の先制犠飛など、3打数1安打2打点と、投打にわたって活躍した。「全体的に投げ間違いが少なく、低めに集まった。何球もファウルで粘られたりしたけど、しっかりコースに投げようと決めていた。直球に振り遅れているようだったので、途中から直球中心に変えました」としてやったり。捕手の成沢巧馬(3年)も「全体的に見れば作戦通りに行きました」と納得のゲームメークだった。

森田泰弘監督(59)は「石川で最後までいくと決めてかかっていた。次の投手は用意していたが、辛抱強く投げてくれた」と完投のエースに頼もしげだった。

バットでもプロの熱視線を集める石川は、昨春の甲子園で4打数無安打。「去年は力を出せずに終わった。借りを返すつもりで甲子園に来た。次の広陵もいい投手がいるけど、初戦を勝ったこの勢いで勝ちたい」と、お立ち台で気勢を上げた。