最大級の伸びしろに魅力あり-。日刊スポーツ「編成部長」のサブロー氏(43)が7日、昨夏に続き甲子園大会を視察。履正社戦に先発した霞ケ浦の148キロ右腕、鈴木寛人投手(3年)を「素材型」として高く位置付けた。3回途中で7失点KOされたが、結果は問わず、潜在能力を高く買った。

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鈴木寛は、すべての面で進化しやすい、育てがいのある素材だ。3回途中で7失点KO。だが結果でものは言わないし、どれだけ打たれてもいいものはいい。「編成部長」となり、この2年間見た中でも、かなりの伸びしろを感じる。

フォームのバランスも美しく、腕の振りの速さもあり、コントロールも悪くない。フォークのように落ちる縦スライダーはプロでも大きな武器になる。特に左打者の膝元に鋭く曲げて三振を奪っていた。インローはどの打者にとってもツボで1つ間違えば危ない球になる。そこに臆せず投げ込んでいたのは自信があるのだろう。カウント球にも勝負球にもなれる一品だ。

最速148キロの直球が履正社打線に打たれたのは、腕が投球時にトップに入るのが早く、相手に見やすいのかもしれない。肩甲骨周囲の動きに硬さを感じるため、早く腕を上げてしまうのだろう。だがトレーニングで可動域が広がれば、打者に見えにくい動きで最適なタイミングでトップに入れることができる。

素材型はプロに入ってからの育て方が大事になる。ロッテの二木(13年ドラフト6位)は入団時は130キロぐらいしか出ず「なぜ、獲得してきたのか?」と現場の多くの人が感じた。16年夏の甲子園を見ていた時は現楽天の藤平(同1位)らが目玉と言われていた。だが投手育成の名伯楽と言われる小谷さん(現巨人巡回コーチ)は二木について「いいのを取ってきたな」と言い、「近江の投手(現DeNA京山=同4位)はいいな」と評価していた。2人とも数年の育成を経て、先発定着やローテ入りを期待させる投手に育った。

もちろん将来性で言えば大船渡の佐々木は群を抜くし、星稜の奥川の完成度も高い。だが鈴木寛は3~5年後に脱皮すれば奥川を超える可能性すら感じる。