12年ぶり11度目の出場となる磐城(福島3位)が、東海大山形(山形3位)を6-0で下し、27年ぶりの勝利を挙げた。

沖政宗投手(2年)が8安打1死球で完封。打線も市毛雄大内野手(2年)が先制のスクイズを含む2打点、岩間涼星主将(2年)が3安打を放つなど、14安打を放ってエースを援護した。

   ◇   ◇   ◇

最後まで細心の注意を払い続けた。磐城のエース沖は「相手は私立の強豪で格上。謙虚に、打たれて当たり前と思って腕を振った」。6点リードの9回裏、無死満塁のピンチを招いても慌てず最後の打者を遊ゴロに仕留めると、大喜びする仲間とは対照的に天を仰いだ。「集中力を切らさないように投げた。疲れました」と、完封での初戦突破に心地よい疲労感が残った。

1回の初球、ストライクを取りにいった球をいきなりはじき返された。「東北では簡単に見逃してくれない。置きに行ったボールは通用しない」と気持ちを引き締め直した。リリースポイントを変えたり、走者なしでもクイックを交えたりなど工夫を重ねた。前夜も捕手の岩間主将と入念に配球を打ち合わせ。「岩間の構えたところに、1ミリのズレもなく投げるのがベストボール」と、まさに1球入魂の114球だった。打線も沖の粘投に応え、先制スクイズの市毛は「いつも助けてもらってきたので、楽にしてあげたかった」。

台風19号の影響で12、13日の試合が順延となり連戦は回避された。木村保監督(49)は「うちのような人数の少ないチームにとっては、2日間空くのは大きい。この1戦に力を向けることができた」。沖も「まずは1戦勝負となった。集中力にはみんな自信があるんで」と、文武両道で鍛えた集中力はダテではなかった。過去2年連続で21世紀枠に県推薦された。東北大会での1勝は大きな価値があるが、目標は優勝して自力でのセンバツ出場。2回戦の能代松陽(秋田1位)戦に向け岩間主将は「試合の入りからしっかりやって、一戦必勝で戦います」と前を見つめた。【野上伸悟】