第92回センバツ高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、東北勢からは3校が選ばれた。昨秋の東北王者に輝いた仙台育英(宮城)は3年ぶり13度目出場。昨夏の主力メンバーも多く残り、星稜(石川)との甲子園準々決勝で1-17と大敗した雪辱を期すだけでなく、悲願の大旗白河越えにも挑む。鶴岡東(山形)は41年ぶり2度目出場。21世紀枠で選出された磐城(福島)は46年ぶり3度目出場が決まった。組み合わせ抽選会は3月19日に大阪市内で行われる。

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甲子園の悔しさは甲子園で晴らす。仙台育英にとって最大の標的は、昨夏の準々決勝で大敗を喫した星稜だ。同試合で8回途中から登板し、打者3人に2安打1四球3暴投。1死も取れずに2失点した147キロ左腕・笹倉世凪投手兼一塁手(1年)は「センバツでは結果が逆になるように、しっかり投げられる準備をしたい」と吉報に気を引き締め直した。

1年生にとっては大舞台での初黒星だった。「夏の甲子園では良い投球を出来た試合もあったけれど、コントロールミスで思い通りにいかない貴重な経験も積めた」。反省点を繰り返すつもりはない。秋以降は投球フォームを見つめ直し、修正中。「チームを引っ張る顔となる選手になりたい」。明治神宮大会で背負うことが出来なかった背番号1を譲るつもりはない。

星稜戦で先発し、1回1/3で降板した最速145キロ右腕・伊藤樹(1年)にとっても、忘れられない甲子園マウンドだ。満塁本塁打を含む4安打3四球5失点。敗戦後、仙台に戻った翌日に行われた二松学舎大付(東京)との練習試合で先発を任されたが、野球人生で初めて左打者に左翼席に運ばれた。「甲子園で自分の投球が出来なくて、帰ってきて打たれて…。言い訳は出来ないけれど、正直どうしたら良いかも分からなくなった」。神宮大会ではベンチからも外れ「何か突出したボールを作らないとダメだと思った」と、スプリットに磨きをかけている。本塁打を打たれた選手は2年生で対戦出来る可能性はある。「個人的に星稜はやりたい相手。今度はチームを勝たせます」と気迫を込めた。

東北大会の背番号8から神宮大会ではエース番号を背負った最速141キロ左腕・向坂優太郎(2年)ら、140キロ超の投手が計7人。切磋琢磨(せっさたくま)する環境が、個の成長にもつながっている。主砲の入江大樹内野手(2年)を中心に打撃には自信を得ている。須江航監督(36)も「今回は実力が拮抗(きっこう)していて横綱はいない。終盤の粘り強さ、クロスゲームを勝ちきれるところは本番で生きる」と期待。一昨年の甲子園初戦で浦和学院(埼玉)に敗れてから掲げた「1000日で日本一」計画。まだ道半ばだが、打力と投手力のバランスは、星稜だけでなく全国の強豪と渡り合える力を十分に備えている。【鎌田直秀】