創部25年目で初出場の浜松開誠館(静岡1位)が、東海初制覇に王手をかけた。準決勝で津商(三重1位)に5-3で勝利。0-3の7回、9番吉松礼翔(れいしょう)内野手(2年)が同点の3点適時二塁打を放ち、逆転の流れを呼び込んだ。決勝は、24日に小牧市民球場で開催。昨年春の掛川西、同秋の日大三島に続く、県勢3季連続優勝を懸けて岐阜第一(岐阜1位)と対戦する。

170センチと小柄の浜松開誠館・吉松が、大仕事をやってのけた。3点を追う7回表、無死満塁で打席が回った。「投手陣も粘ってくれていた。何とか(走者を)かえしたかった」。カウント2-1からの4球目だった。狙っていた高め直球を強振。打球はぐんぐん伸び、左中間を破る走者一掃の3点二塁打となった。

起死回生の一打で津商を捉えると、チームはさらに2点を追加。打者8人の猛攻で一挙5点を奪い、試合をひっくり返した。逆転劇の立役者となった背番号「6」は「最初は抜けないかなと思ったけど、打球が伸びてくれた。うれしかった」と、声を弾ませた。

勝負どころで響かせた快音とは裏腹に、守備が魅力の遊撃手。前日21日の1回戦・愛工大名電戦では3打数無安打。この日も、安打はこの1本だけだった。佐野心監督(55)も「守備と犠打を完璧にこなしてほしい」と起用理由を明かしたが、その期待を“裏切る”結果でチームを救った。

決勝では岐阜第一と対戦。勝てば、秋、春を通じて初の東海大会優勝となる。吉松は「決勝でも、気持ちは変わらない。自分たちのプレーをして勝ちたい」と決意。表情を引き締め直し、会場を後にした。【前田和哉】

■先発広崎が1失点好投

先発に起用された広崎漣(2年)が好投した。丁寧に低めを突き、5回1/3を4安打無四球1失点に抑えた。マウンドで役割を果たした左腕は中堅に入った7回、1死二、三塁の好機でスライダーを捉え、決勝の右犠飛を放った。投打で勝利に貢献。「テンポ良く平常心で投げられた。犠飛の場面もうまくすくえた。チームに貢献できて良かった」と笑顔で振り返った。