甲子園初出場を狙った帝京大可児は県岐阜商と対戦。最速144キロ右腕、鈴木孝介投手(3年)が粘り強く投げぬいたが、延長戦の末敗れた。

最大のピンチは9回。2死三塁と一打サヨナラの場面で県岐阜商の4番伊藤颯希(そうき)主将(3年)を打席に迎えた。伊藤はこの日既に3打点。一塁は空いていた。「4番を抑えられれば流れを引き寄せられる。自分が勝負したいと言った。安積(杏汰捕手、3年)も当ててもいいから厳しくと(言ってくれた)」。ベンチからは敬遠の指示も飛んでいたというが、バッテリーは勝負を選択した。結果は全球インコース真っすぐで3球三振。帝京大可児の応援席が湧きかえった。

しかし延長戦に突入した11回。初球だった。「真ん中のカットボール。カウントを取りにいく球で勝負球ではなかった」。痛打された白球は右ポールに直撃し、サヨナラ本塁打となった。

甲子園初出場を目前に涙をのんだ。103球8奪三振と力投したエースは、「チームメートは特別な存在。ずっと甲子園に行こうと話していた。後輩には甲子園出場の夢をかなえてほしい」と後輩に思いを託した。【清水駿斗】