今季一塁コンバートを断行した巨人阿部慎之助内野手(36)が、再びスタメンマスクをかぶった。相川亮二捕手(38)が前日2日の中日戦で右太ももを負傷したための措置で、エース菅野智之投手(25)との黄金バッテリーが再結成された。勝てば同一カード史上初となる対阪神1000勝だったが敗戦。原辰徳監督(56)の重い決断も実らず、4連敗で借金3となった
スローガン「新成」の象徴である、阿部のコンバートを解除する。原監督は決断した。前日2日の試合で相川が右太ももを故障した。「チームの中で緊急事態、ということ。本人と話をして、こういう形になった」と説明した。開幕から7戦で阿部はマスクを託され、伝統の一戦に臨んだ。
落ち着きをもたらした。1回、外角に外れた菅野のボールをわしづかみして、丁寧に二塁へ投げた。西岡の盗塁を阻止すると、長年そうしてきたように、巨人の本塁を全身で守りにかかった。本調子にない右腕と向き合い、1球ごとに大きく動き、導いていった。
2点を追う5回を潮目と読んだ。15分間もかけて守った。2死二塁、打者ゴメスの2球目。ワンバウンドに手だけを反時計回りに反応させ、止めた。マウンドに駆け、励まし、敬遠を選択し、しのいだ。打撃でも2安打を放った。ただ試合後は「勝てなかったことが残念。相川さんのケガは痛手。緊急事態で(捕手を)やる、と聞いていた」と静かに言った。
原監督の目にも「安心感、落ち着きがある」と映った。「基本的に、そう」と暫定措置としつつ、こうも言った。「(阿部の持ち場に)固守することなく、必要であると感じるならば。フォア・ザ・チームで」。
阿部のバットを4連覇の源にする。壮大な企画から15年シーズンをデザインした。昨年の秋季練習、初日。「99%キャッチャーに戻す気はない」と阿部に伝えた。キャンプ中も「固い約束から今年がスタートしている。慎之助を一塁にコンバートしたのは、私の勝負でもある。結果が悪ければ、彼はもちろん、私もたたかれる」と話していた。2人で納得して断を下した。
「捕手阿部」は、たった1%の選択肢だった。コンバートと同じ重みがあることは想像に難くなかった。開幕3カード目でその1%を選択し、今後も捕手起用を継続することに含みまで持たせた。相川不在。小林の力量。攻守にわたる阿部自身のパフォーマンス。1%の内訳まで吟味して、素早く、大きくかじを切った。
自ら企画して勝つ。監督の専権事項に、誰よりも誇りを持っている。最初に描いた絵が変わっても関係ない。常にベストの航路を選択してきた。「捕手阿部」をためらう理由は、どこにもなかった。【宮下敬至】
◆阿部の一塁転向 昨年秋季キャンプ初日の10月27日、原監督との直接会談で正式に決まった。負担の大きいポジションを長年務めてきたことで、体調面の不安が年々、増してきた。打撃にも悪影響を与え、昨季は打率2割4分8厘、19本塁打、57打点に終わっていた。原監督は「3割30本を目指してほしい」と伝え、阿部も「もう未練はない。新たな野球人生の再挑戦だと思って頑張る」と前向きに受け入れた。



