力でねじ伏せた。日本ハム吉川光夫投手(27)が無傷の3勝目を挙げた。7回3安打無失点と文句なしの好投。大勝の流れを生んだ投のヒーローは謙虚だった。お立ち台では「キャッチャーの近藤が僕をうまくリードしてくれたので、こうなった」。おごることなく、女房役の後輩を立てた。

 直球が力強かった。序盤は最速149キロの生命線で押した。今季3度目の登板。投げる度に状態は上がっているという。「しっかり腕も振れていて、バランスも良かった。真っすぐで押せるなと」。配球のアクセントになったのはスプリット。「前回(8日西武戦)から投げ始めて使えるなと思った」と、手応えのあった新球種。4回にデスパイネから空振り三振を奪うなど多投し、ロッテ打線に付け入る隙を与えなかった。

 昨オフは、すがるように肉体改造に取り組んだ。昨季は3勝止まり。変革を求めた。例えば腹筋が6つに割れる「シックスパック」を目指したり、年末には断食も敢行。「これが野球につながるか分かりません」。根拠はなかった。自らの復活を信じる気持ちが原動力。目的の達成だけを目指した冬を越えると、復活への道筋は光り輝いていた。

 余力はあった。7回で80球。3年ぶりの完封も見えていたが、素直に首脳陣の指示に従った。「まだいけると思った。いつも完封は狙っている。もっと信頼してもらえるように」。開幕3連勝で早くも昨季の勝利数に並んだ。今の吉川なら、すぐに次の目的も果たせそうだ。【木下大輔】