広島黒田博樹投手(40)は振り向かなかった。2回2死満塁。ヤクルト上田に3点適時三塁打を浴びた。「2ボールにした時点で分が悪かった」。3球目、ツーシームが甘く入り、きれいに振り抜かれた。ベースカバーに向かう途中でようやく打球を確認すると、顔をしかめた。3回までに5失点。黒田らしからぬ立ち上がりだった。
1回の先頭にいきなり中前打を浴びると、三ゴロの間に先制点を献上。2回も先頭打者に内野安打を許し、4失点につながった。逆球も多く、3回には「スプリットが抜けなかった」と雄平に右越えソロを浴びた。6回を投げ6安打を浴びてワーストの5失点。ここまでの5試合でいずれもクリアしてきた6回以上、自責点3以下のクオリティースタートに失敗した。
味方打線が3点を追い上げてからはカットボールを多投するなどして本領を発揮。4回から6回までは安打を許さなかった。高い修正能力で、低めを丁寧につく投球を取り戻していた。緒方監督も「何とかしようという気持ちを見せてくれた。その姿は野手にも伝わった」と責めなかった。
復帰後初のナイターで、07年7月24日以来の神宮のマウンドも「変わらないし、(調子は)そんなに悪い感じじゃなかった」。黒田に笑顔はなかったが、神宮の広島ファンからは「よく粘った」の声が上がっていた。ロッカールームへと続く通路で、黒田は言った。「やられたら、やり返すしかない」。今季ワーストの借金8も、振り返る暇はない。【池本泰尚】



