ヒーローインタビューをにこやかに聞いていた。「ファイターズ、最高!」。矢野の絶叫に、日本ハム栗山英樹監督(54)は表情を崩した。「ホントに感動した。野球を思いっきりやれる喜びをひしひしと感じた。ケンジの姿を見て、みんな一番大切なことを思い出してくれたと思う」。延長11回、サヨナラ勝利。最高の“化学反応”が、チームに進化をもたらした。

 相手バッテリーの「サヨナラ暴投」で決着した劇的勝利も、矢野の3本目の安打が起点だった。「我々も勇気をもらった。気持ちも前面に出ていた」。8回無死一、二塁の好機には、2安打していた岡にバントのサインを出した。次打者・矢野への期待と信頼を表現した。

 水面下でトレードが決まったときには、即スタメンで起用すると決めていた。「技術はホントにある打者だから。(田中)ケンスケと左右2枚そろった」。前日11日まで対戦していた巨人原監督にも、現在の体の状態や起用の注意点などを直接出向いて聞いた。「オレは何もしてない」。そう言いながら、最高の船出を陰でアシストしていた。

 4時間45分の激闘を制し、交流戦の勝ち越しを確定させた。「これでやられていると、またいろんなマイナスが出る。だからどうしても勝ちたかった」。シーズンが終わったときにわかる。この日の白星には、大きな価値がある。【本間翼】