これぞ4番だ。これぞ主砲だ。マウロ・ゴメス内野手(30)が、強烈な一撃を長野の夜空に打ち上げた。1点ビハインドの8回に逆転7号3ラン。リーグ戦再開後は3試合連続安打。さあ、今日24日こそ、奪首弾だ。
雨音がやんだ。ごう音を響かせていた雷鳴も収まった。今度は146キロ直球がバットの真芯にぶつかる音だ。信州の夜空に「カツン!」という衝撃音が心地よく響いた。誰もが一瞬で確信した。ゴメスの3ランだ! 逆転だ!
「ストライクゾーンに来るボールは積極的にいこうと思っていたよ」
1点を勝ち越された直後の8回1死一、三塁。マウンドには2番手大瀬良。4番は初球に狙いを定めていた。内角低め直球に対し、寸分の狂いもないタイミングでフルスイング。大飛球は全速力のまま、左翼席中段に飛び込んだ。値千金の7号逆転弾。5時間13分にも及んだ死闘のハイライトシーンを演出した。
来日2年目。今やチームの盛り上げ役も担う立場だ。6月3日ロッテ戦(甲子園)では重苦しい雰囲気をガラッと変えてみせた。8点リードを7回に追いつかれ、試合は延長戦へ。同点のまま迎えた10回裏、一塁ベンチにコミカルな男たちが現れた。ゴメスはもちろん、今成が大和が、帽子を裏返してかぶっていた。首謀者はゴメスだった。
「メジャーでは逆転やサヨナラ勝ちを願っている時、帽子を裏返してかぶることがあるんだ。みんな、やってみようぜ!」
負ければ批判は免れない一戦。固くなりがちなナインの肩の力を少しだけ抜いてあげたかった。願いはかない、10回裏に鳥谷のサヨナラ犠飛が飛び出した。「こうなったら、ああいう場面では続けないといけないですね」。盛り上げ隊長、今成も納得のパフォーマンスはチームを思っての姿勢に他ならない。
交流戦明け、全力疾走を怠って指摘を受けた。拙守もあった。ただ、心の奥底には勝利に懸ける思いが宿っている。「毎試合、毎打席、自分ができることをやるだけだよ」。熱戦は引き分け。負けなかった事実をプラスにとらえ、また次戦も一瞬一瞬に集中する。【佐井陽介】



