同点弾、さらに勝ち越し弾! 阪神福留孝介外野手(38)が2打席連続アーチをかけ、逆転勝ちに導いた。DeNAに1点リードされた6回、まずは井納から中越えに10号同点ソロ。さらに8回は左腕田中から中越えに決勝の11号ソロを運んだ。チームは1分けを挟んで今季初の5連勝。ベテランのアーチで首位を守った。
38歳のベテランならではの思考回路だった。福留は、打席に向かいながら、自分のコンディションと目の前の景色を掛け合わせる。「2アウトでランナーもいない。つないだりというよりも、いい場面と思って初球から振りにいったよ」。同点の8回2死走者なし。潔く本塁打を狙った。
DeNA田中の初球は142キロ直球だった。その瞬間、体がイメージ通りに動いた。「とりあえずセンターに。どこに飛んだら絶対入らないとかはない。その時の運じゃないですか」。右から左へ吹く浜風は関係なかった。打球が弾んだのはバックスクリーン右横。6回の10号ソロも同じ場所だった。「同点」と「勝ち越し」の2打席連続弾。今季初の5連勝を決めたアーチだった。
阪神移籍後初の2桁本塁打。復活劇の背景には、経験に満足しない「チャレンジ」がある。シーズン前、福留はスパイクの契約を結ぶアシックス社の担当者に「2つのスパイクを作ってほしい」と要望を伝えた。これまで履いてきたのは靴底が金具のスパイク。そこに一般的には少年野球で使われるゴム製のタイプを加えた。今はドーム球場で少年野球タイプを、それ以外では従来の金具タイプを用いる。人工芝から来る体への負担を減らすのが狙いだという。「今も試している段階。でもいろいろ感覚が変わるし、やってみようと思ったんだ」。さらに未使用だが、靴底がサッカー用に作られたタイプも持ち合わせる。すべては、好調を維持するためのチャレンジだ。こだわりのスパイクで、この日は4度、ホームを踏んだ。3安打2打点4得点。主役の舞いだった。
3番になって以降、チームは6戦負けなし。和田監督からも「孝介が3番に座って、決めるところは決める。つなぐところはつなぐ打撃をしてくれる。打線の流れが良くなりましたね」と絶大なる信頼を受ける。貯金はまだ2ながら首位を保った。「(大声援は)選手としてはこれ以上ない幸せなこと。それを感じられるのは幸せですからね」。38歳の表情が、充実感に満ちていた。【松本航】



