驚異的な粘りだった。右肘手術から復帰したヤクルト館山昌平投手(34)は、打たれても四球を出しても集中力を切らすことはなかった。「この試合を絶対ものにしたい強い気持ちで投げた。ヒットもたくさん打たれ、四球もたくさん出したけど、野手のみんなに守ってもらい、なんとか最少失点でしのぐことができた」と感謝の気持ちを忘れない。5回のうち得点圏に4度走者を背負いながらも1失点で切り抜けた。ピンチになると大引が駆け寄り、直後に2度も美技で救ってくれた。
復活勝利を挙げた翌7月12日には戸田寮を訪ねた。リハビリを助けてくれたトレーナー、コーチやスコアラーに礼を言ってまわった。「わざわざ来てくれてありがとう」と声をかけられると、「ここが僕のホームですから」と答えた。長いリハビリのすべてが詰まった場所。「1人で戻れたわけではない」と考えていた。この姿勢が周囲に支えられる要因だろう。
この試合の重要性を分かっていた。敗れれば阪神には4・5ゲーム差に広げられ、首位争いから1歩脱落してしまうところだった。復帰後は中10日以上空けてきたが、追走への重要度は高まる。真中監督は「中6日か7日はまだ分からないけど、来週は投げられると思う」と青写真を描く。館山も「自分に期待している」と登板間隔が短くなることへの不安はない。状態が悪化しない限り、ローテーションの柱として完全復活する日は近い。【矢後洋一】



