ウイニングボールをつかんだヤクルト中村悠平捕手(25)は、ホームで跳びはねた。マウンド上のバーネットに駆け寄り抱きついた。「(リーグ優勝は)サヨナラだったから、守りで締めくくれてうれしかった」と笑った。6回から5人のリリーフ陣で1点差をしのいだ。今季を象徴していた。投手陣の特長を引き出し、レギュラーシーズン終盤に苦しめられた長野、井端、亀井をほぼ完璧に封じ込めた。打線が注目されがちなヤクルトにあって、14年ぶりの日本シリーズ進出の鍵は中村が握っていた。

 3回1死満塁のピンチでは阿部に対し「打てるものなら打ってみろ」と強気に内角を要求し、一飛に仕留めた。真中監督は「彼の働きが勝ちにつながった。1年を通して苦しい場面も乗り越え自信をつけた。押したり引いたりリードできている」と高く評価した。

 FAで抜けた相川の穴を埋めて余りある活躍だった。12球団の捕手で規定打席に達したのはパでは西武炭谷だけ、セでは中村ただ1人だ。「キャッチャーらしくありたいんです。目配り、気配りが大事」と、捕手道を追求。お手本は中日谷繁監督だった。「谷繁さんは常に周りを見ている。僕も春からの積み重ねでできるようになってきたと思う」と自覚は十分だ。「短期決戦は捕手が成長できる場所。ソフトバンクは一番やりがいのあるチームです」。守りの要が強力打線封じに挑む。【矢後洋一】