日本ハム武田久投手(37)が2年連続の大幅減俸で再スタートを切る。12月2日に予定の契約更改交渉で今季年俸8000万円から6200万円減、1800万円でサインすることが20日、分かった。昨オフは球団史上最大の1億6000万円ダウン。2年連続で減額制限(年俸1億円以上は40%、1億円以下は25%)を超えるが、この日までに球団側と下交渉を行い、合意した。今季は1軍未登板に終わったが、14年目の来季へ復活をかける。

 プライドを封印し、覚悟の船出をする。前守護神の武田久が、不退転の決意で出直しを期すことになった。12月2日に契約更改で、球団から大減俸を提示され、受け入れることを決めた。今季年俸8000万円から下がり、1800万円で来季、プレーする。この日までに双方で下交渉を行い、妥結。武田久は「野球ができるので、球団に感謝している」と真っすぐな思いを明かした。

 厳しい数字も、愛着あるユニホームを着て現役を続ける道を選んだ。14年は年俸2億4000万円だったが昨オフ、1億6000万円ダウン。球団史上最大の減額で、今季に臨んでいた。開幕直前の3月に左、8月に右と、両膝の半月板を手術。アクシデントに見舞われて「今季は野球をしていない」と不完全燃焼に終わった。プロ入り初めて1軍未登板。2年間で計2億2200万円減も当然と、のんだ。

 来季は好転する少しの手応えがある。モチベーションも高まってきたという。両膝の不安を除去し現在は、2軍の千葉・鎌ケ谷でリハビリの日々を送っている。「この年齢まできて、もうお金じゃないので。やれることをやっていく」。北海道を本拠地に移転してからの歴史を支えてきた、立役者の1人の誇りがある。若手の台頭が激しい中で再び、第一線に立つために全力投球する決意だ。

 球団側は設定した1800万円という金額に、特別なメッセージを込めた。1軍に完全定着し、最優秀中継ぎのタイトルで、44年ぶりの日本一に貢献したのが06年。そのシーズンと同じ金額に、年俸を設定した。武田久に原点回帰で再浮上してほしい、との願いで条件を整えた。最多セーブ3度など、数々の栄光を持つ救援のスペシャリスト。プライスレスな気概で、大勝負をかける。

 ◆減額制限 野球協約第九十二条(参稼報酬の減額制限)で、次年度選手契約が締結される場合、選手のその年度の参稼報酬の金額から以下のパーセンテージを超えて減額されることはないと定められている。1億円を超えている場合、40%まで。1億円以下の場合、25%まで。ただし、選手の同意があれば、この限りではない。2年連続の減額制限超で同一球団に残留例は、12年2億円→13年7000万円→14年3500万円のソフトバンク松中信彦がいる。