中日若松駿太投手(20)がブレーク2年目の進化を見せた。10日、北谷キャンプのシート打撃に初登板し、打者7人に対して被安打1。後半は得意のチェンジアップを封印して抑え込んだ。昨季、すい星のごとく現れ10勝を挙げた右腕。130キロ台でも打者が振り負ける直球に磨きがかかり、ネット裏からは「最多勝候補」の声まで聞こえた。

 ふわっと浮き上がるような直球は顔付近のボール球。スピードガンの数字は非表示だったが、推定で130キロ中盤から後半程度か。それでも追い込まれていたエルナンデスは振りにいく。バットは空を切った。

 「指のかかりは悪くなかった。コースにも決まっていたし、球速は思ったより出ていました。チェンジアップを待たれることが多いので、逆のパターンで攻められたらいいと思う」

 井領を遊ゴロ、大島を空振り三振、桂を遊飛に封じ、1度目の登板を終えた。勝負球のチェンジアップ、スライダー、カーブ、新球のシンカーも織り交ぜたが、すぐに友利投手コーチに呼びつけられた。「困ったときは(直球で)アウトローだろ」。昨年何度も言われた言葉だ。

 特殊な変化をするチェンジアップに頼る傾向があるため、2度目の登板では得意球を封印し、直球を軸にした。この日の最速は138キロ。平均で135~6キロ。だが合計7打者に対し、安打は亀沢に緩いカーブを合わされた左前打1本だけだった。最後のドラフト3位木下拓哉捕手(24=トヨタ自動車)も高めの136キロで空振り三振に切った。

 「打てそうで打てない」直球は今年も健在だ。一昨年からスピンを高めることを意識して、体の使い方を研究。このオフはウエートトレにも取り組み、体を大きくした。キャンプ初日から課題を明確にしながら投げ込み、投球数は1軍でもトップクラス。緻密な制球力は相変わらず。投球スタイルはそのままに、スケールアップしている。

 ヤクルト志田スコアラーが言う。「マエケンもいなくなるし最多勝の候補になる。これを言うとよく笑われるんだけど冗談ではない。昨年も1年間出ていたら最多勝くらいいっていた。うちもやられましたから」。2年連続2桁勝利を目標にする若武者は、もっと大きなステージを狙うレベルにきているかもしれない。【柏原誠】