男銀次が、一振りで試合を決めた。楽天の3番銀次内野手(28)が、1点を勝ち越された直後の5回1死一、二塁から、右中間スタンドに今季1号となる逆転3ランを放った。試合前まで打率2割4分1厘と苦しんでいた男が、初球を強振し、2万4184人が集まった本拠地を沸かせた。続く4番ゼラス・ウィーラー内野手(29)も2者連続のソロ。主軸の連続アーチで連勝を飾り、Aクラス進出へ、勢いに乗ってきた。

 いつものように、ご機嫌な「ミスチル」のメロディーに乗って、銀次が打席に向かった。1点を追う5回1死一、二塁。初球、真ん中に入った127キロのスライダーを逃さない。右中間スタンドに飛び込む今季1号3ランは、本拠地コボスタ宮城で放つ、2年ぶりの本塁打になった。

 「無心で打ちました。強いスイングを心掛けた。チームに迷惑をかけていたので、今日打ててうれしく思っています」

 三塁側ベンチでハイタッチを交わしている間に、続く4番ウィーラーも初球本塁打で続いた。一気に4点を奪って逆転。ゴールデンウイークの仙台が、主軸のそろい踏みで沸いた。

 3年連続3割をマーク(15年は規定打席未到達)した銀次だが、試合前まで打率2割4分1厘と苦しんだ。昨年までより増える内角攻め。「負けず嫌いなので、それを打とうとしていました。いかに我慢するかが、これからは大事になる」。プロの技術が詰まった内角打ちも大切だが、好球必打は勝利への近道。甘いスライダーをとらえた一打は、大きなきっかけになる1本になるかもしれない。

 ヒーローインタビューに立つと、子どもたちへのメッセージを求められた。いい選手になるためには「いっぱいご飯を食べることです」とアドバイス。13年に日本一に輝いた年に生まれた長男虎次郎くん(2歳)に続き、昨年12月には次男桃次郎君が生まれた。今季は吉兆のシーズン。午前中から雨が降り続いたこの日は、家族は自宅でテレビ観戦だったが、今日5日のこどもの日を前に、2児のよきパパが結果を出した。

 梨田監督は「あそこで銀次にホームランが出るとは思わなかった。(昨年は)年間1本しか打たないバッター。長打が欲しいところで打ってくれた」とたたえた。2試合連続の逆転勝利で、3位にゲーム差なしと迫った。好調な1、2番コンビに加え、主軸が結果を出し、楽天に上昇ムードが漂ってきた。【前田祐輔】