第2の人生を成功させた元イケメン投手の今-。元巨人投手でうどん店経営者の條辺剛氏(34)が11日、埼玉県ふじみ野市で日刊スポーツの取材に応じ、巨人愛とうどん愛を語った。

 早朝から次々と客が入れ替わり、常に満席の讃岐うどん店「條辺」。條辺氏は現役当時と変わらない精悍(せいかん)な顔立ちで、厨房(ちゅうぼう)に立っていた。「野球もうどんも大変ですが、充実した日々を送っています。ピッチングとうどんは『コシとキレ』が大切。自分の人生の中でこの2つは切っても切れない縁です」。

 徳島県出身。99年にドラフト5位で巨人に入団。01年から1軍に定着し、02年に中継ぎとしてチームの日本一に貢献した。05年に現役引退後、第2の人生として選んだのが「食の道」だった。小学生の時の夢は、1番が飲食店経営で2番がプロ野球選手だったという。同郷の水野雄仁氏の紹介で06年2月に宮崎県内のうどん店に勤務した。「うどんをもっと勉強したい」。この強い思いで、同7月に香川県高松市の名店「うどんのなかにし」で妻の久恵さんと修業した。

 08年4月、久恵さんの実家近くのふじみ野市で「條辺」を開店した。のれんの字は、巨人長嶋茂雄終身名誉監督が左手で書いた直筆で、うどんとのれんを目当に全国から巨人ファンらが集う。本場仕込みのコシのある麺と薄い色のいりこ(煮干し)だしが特徴で、1玉400円から。平日は約300杯、土日は約500杯を売り、行列が絶えない人気店となった。「ここまでこれたのは巨人と家族の支えがあったからです」と感謝の気持ちを忘れない。

 巨人戦を年2回観戦するのが條辺家の決まりで、6日の巨人-中日戦(東京ドーム)を観戦した。「試合は負けしてしまいましたが、野球は観るだけでも楽しい。由伸さんは現役時代に大変お世話になった先輩で、引退した時も携帯の留守電に『困ったことがあったら遠慮なく連絡してこい』とメッセージを残してくれました。高橋巨人の活躍は刺激にもなるので、ぜひ、日本一になってもらいたいです」。そこには、巨人とうどんをこよなく愛する條辺氏がいた。