執念だった。広島が延長12回を戦い、今季初の引き分けに持ち込んだ。緒方孝市監督(47)は執念のタクトを振った。守護神中崎にイニングまたぎを命じ、休養日だった新井も最後に代打で起用。打線は追加点をなかなか奪えない苦しい展開だったが、9回のセーフ判定がアウトに覆る一幕もあり、負けるわけにはいかなかった。苦しい台所事情だったロード6連戦を2勝3敗1分けで乗り切った。

 勝ちきれなかったが、負けなかった。4時間41分のロングゲームを執念でドローに持ち込んだ。試合後、緒方監督は「長い試合だったね。12回までね」と柔和な表情を見せた。野手陣は先制し、さらにビハインドを背負っても再び追いついた。投手陣は今季初先発の中村恭が8回途中まで頑張り、中継ぎ陣も2番手以降の5投手が無失点でつないだ。野手も含め、全選手、スタッフをたたえた。

 緒方監督 (中村)恭平がよく投げてくれた。ザキ(中崎)がイニングまたぎもして。(小野)淳平も最後自分の投球をしてくれた。野手はなんとか点を、という気持ちだったと思う。好機で点を取れず、勝ちきれなくて悔しいが、選手もコーチもよく頑張ってくれた。

 指揮官はメッセージをタクトに込めていた。同点の8回2死でエルドレッドが左前打を放つとすかさず代走赤松を起用。9回で決着をつける、という無言のメッセージだろう。一方で3連投していたヘーゲンズを休養とし、中村恭を8回途中まで引っ張った。ピンチとなってからは前日に休養していた今村に代え、中日ビシエドを封じた。

 9回には無死一塁で会沢に送りバントのサイン。リプレー検証で判定が覆った9回のプレーを呼び込んだ。1死一、二塁で田中の右前打で二塁走者安部がホームを狙った。クロスプレーで1度はセーフ判定されたが、約10分にわたる検証の末、アウトに。指揮官は判定が覆った直後に、二塁走者を小窪から天谷に代えた。再度抗議に出ていれば退場になる可能性がある。間髪入れない起用で、ナインを試合に向かわせた。

 延長10回には守護神中崎を途中投入し、11回も行かせた。ロード6連戦を2勝3敗1分けで乗り切った。経験のない投手が立て続けに先発したなかでも、粘った。「勝ち越せなかったけどね。収穫も多かった」。ここまでもそうだった。反省と修正を繰り返し、緒方カープはまた強くなる。【池本泰尚】