逆転負けの4位後退も、聖地甲子園を若虎が沸かせた。阪神北條史也内野手(21)が、プロ初の1番打者抜てきに3安打1打点の活躍で応えた。いきなり中前打を放ち、初回2点の先制劇を呼び込むなどハツラツ。

 聖地で躍動した。スコアボードの先頭を飾る「北條」の2文字。初回、広島中村恭から中前へ運び、いきなりチャンスメーク。4年目の若虎が、プロ入り初となる1番起用に最高の仕事で応えた。

 「結果が出て、ヒットが打てたことは良かったです。コーチ陣にも思いっきりいけと言われていたので」

 これだけでは終わらない。2回2死で右前へ運ぶと、8回先頭ではジャクソンから再び右前打。全て直球をはじき返しての今季2度目の猛打賞。「真っすぐのタイミングでいつもいっているので。それがファウルにならなかったところが良かったです」と、四球を含め、3安打4出塁の大活躍に北條も納得顔だ。2回にはプロ初盗塁を決め、足でもアピールに成功。金本監督も「期待を込めてね。試験的にというか。最後のライト前ね、3本目のヒットも速い球を。アウトコースやけどね」と抜てきに応えた若虎を褒めたたえた。

 ここまで“ユーティリティープレーヤー”として結果を残し続けてきた。この日のようにスタメンで起用されることもあれば、ベンチで戦況を見守り、代打や守備固めとして出場することも多い。「突然言われることも多いんで。いつ言われてもいいように、常に準備して集中してますね。試合の流れとかも見ながら」。当初は、試合への入り方にも戸惑うこともあったが、今ではどんな状況でも万全に試合に臨むことができているという。だが、今の状況には満足はしていない。「やっぱり最初から出たい気持ちはあるんで。もっと頑張っていきたいですね」。背番号2には、使い勝手のいい選手で終わる気持ちはみじんもない。

 チームは大敗を喫し、勝率5割に逆戻りした。その中でも、レギュラー奪取を狙う4年目の若虎が確かな成長の爪痕を残した。【梶本長之】

 ▼阪神北條がプロ初の1番打者で先発出場。今季阪神はめまぐるしく先発打順が変わっており、47試合を終えて、これで37通り目。4月8日広島戦から35試合連続でパターン変更となった。