横田よ「野球脳」で壁をぶち破れ!! 阪神金本知憲監督(48)が25日、今季の開幕スタメンに抜てきしながら、不本意な成績に終わった横田慎太郎外野手(21)に期待を寄せた。10月上旬から宮崎でのフェニックス・リーグでプレーしていた2軍が、この日から甲子園の秋季練習に合流。横田のフリー打撃を見た指揮官は「練習でいいものが出てる。打席での野球脳」と課題を挙げた。駆け引きがレギュラーへの近道だ。

 開幕から7カ月たった。小雨が降りしきる甲子園の室内練習場に乾いた衝撃音が響く。右足をグッと上げて左足に体重を乗せて軸で回転する。間合いをはかって強振する。プロ3年目の横田は力強さを取り戻していた。16年初陣から先発に抜てきされ、春先に見せていた「当てるだけの打撃」はすっかり消えていた。

 6月中旬に2軍降格してからは、1軍に上がれなかった。打撃練習を久しぶりにチェックした金本監督も「横田はいろいろ工夫しとるな。確かに変わってる部分もあるし、横田はいつも練習ではいいものが出てる。それを試合に出せないだけ。あとは自分の打席での野球脳というか、工夫。いつも言うけど、そこらへんじゃないかな」と評した。

 1軍を味わった喜びよりも悔しさの方が大きいだろう。今季、確かに1軍に初昇格し、プロ初安打も初打点もマークした。だが38試合出場にとどまり、打率は1割9分。ノーアーチに終わり、不完全燃焼だった。2軍では79試合出場で打率2割6分1厘、5本塁打。1軍定着の最重要課題は打席での相手バッテリーとの駆け引きになる。指揮官は「壁だろうね。やっぱ、壁だろう。(試合で)練習のものが出てこない。野球脳、考える力、工夫する力、メンタルもあるだろうし、気持ちの持ち方」と話す。

 10月上旬からのみやざきフェニックス・リーグでは4番を任された。序盤こそ不振だったが、次第に結果が出始めた。前日24日の最終戦は右翼へアーチ締め。通算で39打数9安打、打率2割3分1厘、2本塁打だった。安芸キャンプは基礎体力の向上がメインだが、実戦もある。横田にとって勝負勘を鍛える期間になりそうだ。この日「勝負だと思うので1球1球、大事にやっていきます。すべてレベルアップしないといけない」と気を引き締めた。今オフはFAを持つオリックス糸井の獲得を検討。同じ外野のライバルもひしめき、いばらの道を乗り越えられるか注目が集まる。【酒井俊作】