日本ハム大谷翔平投手(22)が、メジャー投手最高の栄誉「サイ・ヤング賞」獲得を目標に掲げた。22日、母校・花巻東の創立60周年記念式典に出席。同校から特別表彰を受けるとともに、花巻市からスポーツ栄光特別賞が贈られた。同式典内のトークショーでは、今後の抱負を語る中でサイ・ヤング賞を「取りたい」と断言。早ければ来オフにもメジャー挑戦する可能性のある大谷が、初めて渡米後の夢を口にした。

 将来への夢を抱き学生生活を送る母校の生徒たちの前で、大谷もまた、大きな夢を語った。トークショーで共演したお笑い芸人のトータルテンボス藤田から、「サイ・ヤング賞」の獲得を期待されると、はっきり言った。「サイ・ヤング賞は投手の夢。取りたい賞だなと思います」。メジャー挑戦後の目標を掲げ、「世界一の選手になっていきたいです」と宣言した。

 同賞は両リーグから1人ずつ、その年最も活躍した投手に贈られる賞。今年はともに20勝以上をマークしたマックス・シャーザー(ナショナルズ)、リック・ポーセロ(レッドソックス)が受賞するなど、歴代の受賞者には名投手が顔をそろえる。日本人の受賞者はゼロ。メジャー通算123勝の野茂も、松坂、ダルビッシュ、田中らも手が届いていない領域だ。

 大谷は式典終了後、「目指すからには、誰もが高い目標を掲げる」と話した。この日は花巻東の創立60周年記念イベント。自身がまだプロの世界を夢見ていた当時を振り返り「ここ(現在の立場)に来られるとは思っていなかった。誰しもがそう。可能性を持っているということ」。目標を掲げ、決して諦めず努力を重ねてきたから、今がある。在校生を意識しながら、自分もまた、現状に満足せず、さらに上の目標に向かって進んでいる。

 故郷に戻るのは、昨年末以来。「ここに来ると1年が終わったなという感覚。家、庭みたいな感じ」と、ひとときを楽しんだ。生徒の前では、英語の授業中に居眠りをしていたというエピソードも披露し「本来ならメジャーに行きたいって言ってたんですから、勉強しなきゃいけないんだけど」と笑いを誘った。おどけながらも、しっかりと夢を実現しながら、今も歩み続ける。地元のヒーローには、憧れのまなざしが向けられていた。【本間翼】

 ◆サイ・ヤング賞 大リーグ通算最多の511勝を挙げたサイ・ヤングの名を冠し、同投手が88歳で死去した翌年の56年から年間最優秀投手として制定された。当初は両リーグで1人だったが、67年からはリーグ別に選出。全米野球記者協会の投票によって決まる。最多受賞はロジャー・クレメンスの7度。今季はポーセロ(レッドソックス)シャーザー(ナショナルズ)が受賞した。