肘の不安も降格の大きな理由の1つ。だが、それ以上に、キャンプ初日からの動きが指揮官には物足りなかった。初日のブルペンから体のキレを欠き、前日4日のフリー打撃登板では、打者2人に45球のうちボール球が13球、安打性8本を浴びる内容だった。この日はキャッチボールを行わずノースロー。順調に段階を上げていく他の選手に置いていかれる姿に「戦力として考えているだけに、がっくりした」と指揮官の我慢も限界に達した。

 全体練習後に戸田を呼び、首脳陣の控え部屋で約25分、2人で面談した。戸田はチームに手薄な左腕で、開幕ローテーション候補にも挙がっていた。期待が大きかった分、緒方監督の失望も大きかった。「この時期に入れ替えなんてしたくない。そうせざるを得ない結果を本人が招いた」と指揮官。大きな荷物をまとめた戸田は「しっかり治して、また頑張ります」と言葉を絞り出した。

 7日からは2軍も同じ宮崎・日南でキャンプをスタートさせる。全選手がそろう第2クールを前に指揮官の下した厳罰が、連覇を目指すチームにほどよい緊張感と危機感を与えた。【前原淳】