3年ぶり4度目の都市対抗へ快調に発進した。バイタルネット(新潟市)がフェデックス(長野・塩尻市)を3-1で下し、初戦突破で第1関門をクリアした。大川将史投手(24)が完投勝利。完封目前の9回に1点を失ったが、被安打5の111球で好投した。

 大川は顔色一つ変えずに投げ続け、勝利を決めても淡々とマウンドを降りた。自軍は2回に先制点を奪いながら、その後は7回まで10残塁と追加点がなく、佐藤英司監督(38)が振り返った「残塁、残塁で一番いやな流れ」の時間帯も、ポーカーフェースを貫いて抑え続けた。8回裏にようやく追加点をもらい、直後の9回こそ「(完封を狙って)気負って空回りした」と初失点も、完投で貴重な白星をもたらした。

 大川は「直球がコースに決まった」と、この日の投球を自己分析した。球場の球速表示はなかったが、最速142キロの左腕。武器のツーシームで8三振を奪った。初回に死球を与えたものの、以後は無四死球。持ち前の制球力がさえた。佐藤監督は「(大川)将史が試合を作ってくれた。流れを渡さなかった」と手放しの喜びようだった。

 実は、2次予選直前の最終調整でアクシデントが起きた。関東遠征初日の3日、上武大との練習試合で打球を頭部に受けた。ライナーが左こめかみの上に当たり、救急車で病院に運ばれた。検査結果は「異常なし」だったが、満足な投げ込みができず、「最悪だった」と話した。もっとも、マウンドに立てば強心臓に変わる。「不安はなかった。上から目線で強気でやれば」と、相手をのんで投球した。完封を逃しても「次の試合へ、いい経験ができた」と前向きだった。【涌井幹雄】