復活へ猛アピールだ!! 巨人山口俊投手(30)が、今春宮崎キャンプ最初の実戦となる2月9日の紅白戦での登板を視野に入れた。1軍合同自主トレ2日目の29日、日本人最速で座った捕手を相手にブルペン投球を行った。昨年7月に暴力トラブルが発覚し、実戦を離れていた間に新球のシンカー習得に着手。この日のブルペンでも披露し、実戦復帰の切り札として用意した。ハイペース調整で約7カ月ぶりの実戦マウンド、先発ローテ復権を見据えた。

 表情は変えなかった。山口俊はブルペンに入ると、座った田中貴へ1球1球丁寧に投じた。ボールは目慣らしのために打席に入った阿部の足もとの高さへ構えたミットに、吸い込まれた。「体は万全。投げていく中でフォームやボールを仕上げたかった」。49球を投げ、阿部からは「ナイスボール!」の声が3度とんだ。ベテランの感嘆が、右腕の好調ぶりを証明した。

 実戦のマウンドへ、気持ちは高ぶっている。2月9日に予定されている今季初の紅白戦は例年、若手投手のアピールの場とされているが「首脳陣に行けと言われたところで、率先して投げていきたい。行ける準備はできている」。昨年7月9日阪神戦後の昨年7月途中に暴力トラブルが発覚し、実戦から離れた。謹慎生活を経て、練習だけに明け暮れる日々を余儀なくされた。一社会人として、野球と真摯(しんし)に向き合った姿勢を証明すべく、約7カ月ぶりの実戦登板へ臨む。

 今季でFA移籍2年目。昨季は4試合の登板に終わった。それだけに「結果を出さないといけない立場。そのために、自主トレから逆算してやってきた」。自身の力をアピールしていかなければいけない現状を理解し、行動に移してきた。

 進化に手応えも感じた。このオフから習得を目指しているシンカーを、ブルペンで投じた。配球の主となるカットボール、カーブとは逆方向へ曲がりながら落ちる変化球に、打者の目線を変えるために取り組んだ。「阿部さんから『曲がりはおもしろい。あとは曲げどころ』と意見をもらえた。厳しいコースへ投げ切れないと意味がない」。ストライクカウントを整えるだけでなく、勝負球としての活用も視野にある。投球の幅を広げるために、キャンプで精度を高めていく。

 この日ブルペンで座った捕手へ投球したのはマシソンと2人だけ。「今年は結果を出すだけ。ペースを上げていかないと」。再起への強い思いは結果で示す。【桑原幹久】