1万721日ぶりの同時降臨だ。広島野村祐輔投手(29)と安部友裕内野手(29)が明日31日の日本シリーズ第4戦で生誕の地・福岡で同時出場を果たすことになりそうだ。ともに89年6月24日に、同じ産婦人科医院で産声を上げた。その後くしくも同じ広島に入団。故郷で行われるプロ野球頂上決戦の舞台に、2人そろって帰ってくる。

決戦の舞台で、感触を確かめるように、野村は59球を投げ込んだ。ワインドアップから、そしてセットポジションから。小林投手コーチに左右の打席に立ってもらい、変化球をまじえて投げた。「勝つだけです。それができる投球をしたい」。一昨年の日本シリーズ第2戦目以来のシリーズ星を狙う。

明日31日は同じ福岡の地で生を受けた安部と同時に、福岡のグラウンドに立つ可能性が高い。ともに89年6月24日生まれ。福岡県北九州市の同じ産婦人科医院で30分違いで誕生した。野村が広島に入団して発覚した奇跡。野村は明日の第4戦先発が決定的で、初戦から2戦連続スタメン出場の安部も守備の安定性からスタメンは濃厚。1万721日のときをへて、同時にヤフオクドームのグラウンドでプレーする。

広島から移動後、ヤフオクドームで調整した野村は「小さいときはよく(母の実家に)帰って(当時)ダイエーの試合を見ていましたよ」。懐かしい記憶がよみがえる。ヤフオクドームでの登板は今年3月23日のオープン戦以来。6回5失点と苦い記憶は「覚えてないですね」と頭の中から消した。マウンドの傾斜や硬さを再確認。「広くゾーンを使うのは僕の持ち味でもあるので、やっていきたい」と気持ちを新たにした。

安部にとっては、福岡工大城東まで過ごした故郷への凱旋(がいせん)試合となる。今シリーズは2試合で8打数1安打と当たりが出ていないものの、堅実な三塁守備で投手をもりたてている。「野村だけでなく、すべての投手を守りで支えて、(打って)援護する。それだけしか考えていない」。一戦必勝の姿勢を崩さない。「縁を感じますね」と話す野村とともに、ホーム福岡で成長した姿を見せたい。【前原淳】