東北球界から巣立った大学日本代表の慶大(東京6大学)郡司裕也捕手(3年=仙台育英)と、東洋大(東都)佐藤都志也捕手(3年=聖光学院)が、新主将就任の決意を語った。郡司は高校時代に明治神宮大会優勝や夏の甲子園準優勝。佐藤も2年連続甲子園出場の実績があり、ともに大学でもベストナインなどの活躍でリーグ優勝を経験。来秋のドラフト候補として、ラストイヤーに挑む。【取材・構成=鎌田直秀】

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慶大・郡司の最初の目標は早大に勝つことだ。今秋のリーグ戦最終節、第1戦を勝ち、あと1つ勝てば優勝の状況から連敗し、V逸。1勝1敗で迎えた第3戦では自身の2ランで先制したが、相手の追い上げを封じられなかった捕手としての責任を感じている。

郡司 <1>早大に勝つ<2>リーグ優勝<3>日本一。これが自分たちの理想であり、達成しなくてはいけないこと。まずは早稲田に勝たないことには、すべてが始まらない。第3戦で負けた試合のイニングスコアは、練習グラウンドのスコアボードにも、ブルペンにも貼っています。

エース左腕・高橋佑樹(3年)に続く投手が崩れ、2戦連続逆転負け。悔しさ、反省は大きいが悲観はしていない。失敗を発奮材料にもできる精神力は、仙台育英時代の恩師でもある佐々木順一朗氏(59=現学法石川監督)から教わった言葉にあった。11月には仙台市内で行われた同氏の「感謝の集い」に出席して再会。主将就任を報告すると、新天地に挑む“師匠”から「お前が主将になると思っていたから頑張って。オレも頑張るから」と激励を受けた。

郡司 順一朗先生の「運命を愛し、希望に生きる」の言葉は、一番の教え。大学に入ってからも実感したし、何が起きても、これも運命だと思えるようになった。打たれて大量失点しても試練だと。乗り越えれば良いことがあると。

“希望”は「主将」「4番捕手」としてチーム1番の成績を挙げることと自覚している。大学日本代表に選出されることで、さらに自分の短所とも向き合えるようになった。守備での課題はスローイング。送球を導くフットワーク向上に必要な股関節の硬さ改善のため、ストレッチを徹底するだけでなく、四股踏みも開始。今冬には相撲部“入部”も検討している。

打者としても豪快な本塁打を量産してきた前4番の岩見雅紀外野手(24=楽天)の姿を追い求める。高校時代は皆無だったウエートトレーニングにも本格着手し、スイングスピードアップにも努めている。

郡司 最初は岩見さんのスタイルではなく、チャンスで確実に走者をかえすことができる打者を目指していた。今思えば、美談のような言い訳な感じ。今は長打1発で、試合の流れを変えることができる打撃の意識もある。

兄の影響で憧れた慶大進学。慶応高の入試で不合格となった挫折を味わいながら、大学入学を果たして主将に立候補し、仲間の投票で決定した。「プロへの気持ちは高まっています。レベルはまだまだ上がる」。来秋ドラフトの運命は、慶大日本一の結果でつかみ取る。

◆郡司裕也(ぐんじ・ゆうや)1997年(平9)12月27日、千葉・市原市生まれ。水の江小2年から、ちはら台ファイターズで野球を始め、ちはら台南中では千葉リトルシニアでプレー。仙台育英では2年秋に明治神宮大会優勝。3年時に甲子園春夏連続出場し、夏準優勝。慶大では1年春にリーグデビューし、同秋から正捕手。2年春、3年春にベストナイン。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。