ソフトバンク王貞治球団会長(78)、工藤公康監督(55)が30日、「猪突(ちょとつ)猛進」でぶっちぎりのリーグ優勝、3年連続日本一を誓った。福岡市の筥崎宮で必勝祈願を行い、2人は今年の干支(えと)、亥(い)年にかけ、集まった4500人のファンの前で約束した。チームは今日31日に宮崎へ移動し、2月1日から1カ月間の春季キャンプに突入する。

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真冬の寒さを感じさせない穏やかな天候の中、筥崎宮での必勝祈願からソフトバンクのリーグ優勝奪回への道のりが始まった。4500人のファンが見守る中、180人の選手、スタッフが本殿へと向かった。

王球団会長が「今年はいのしし年ですから、目標目がけてまっしぐらに進んでいきたい」とあいさつすると、工藤監督も「王会長も言われましたが、猪突猛進、開幕から突っ走ってリーグ制覇をし、秋にファンのみなさまと喜べるようにしたい」とマイクで話し、歓声を浴びた。

2年連続日本一の喜びよりも、昨季リーグ2位だった悔しさをかみしめてのスタートだ。王球団会長は「やっぱりペナントレースが我々の本来の仕事。そこで1位になることが今年の目標。いのしし年なので、スタートダッシュを利かせてほしい」と、開幕から他のパ5球団を寄せ付けないほどの強さを期待した。

けが人を出さないため、キャンプの第1、第2クールはランニング地獄となる。ただ大塚1軍コンディショニング担当が、ゲーム感覚で楽しみながら動き回るメニューも用意。単調にならない工夫を忘れない。

猪突(ちょとつ)猛進を実現するためには、キャンプで若手の突き上げが必須。ドラフト1位甲斐野央投手(22=東洋大)ら新人4人が17年ぶりにA組に抜てきされたが、A組投手は17人と普段の20人前後の数を選び切れなかった。野手も基本的にキャンプでの入れ替えはしない方針だ。森ヘッドコーチは「ケガしないようにだけ。途中からデスパイネ、グラシアルも合流する。B組の若手は悔しいと思うけれど」と、伸び悩む若手との差が大きい現実を嘆いた。昨年はキャンプ前日に発表したレギュラー陣を固定できず。「イノシシのように」という王球団会長、工藤監督のメッセージは、参拝列の後方にいた若手たちへの呼びかけでもあった。【石橋隆雄】